本編を1000%面白くする総集編が放送される前に本編を10%ぐらいつまらなくするゼロワン最大のミスの話がしたい!
- <第1話開けたらいきなり問題点>
- <全ては其雄ヒューマギアの話題性のため>
- <やりたかった冬映画のためにブレるTV本編>
- <貴方が親ならどうして仮面ライダーシステムを息子に遺す?>
- <垓に憎まれたヒューマギア>
- <故人の蘇生はタブー>
<第1話開けたらいきなり問題点>
長ったらしい文章が続くので、いきなり結論から述べてしまいます。
ゼロワンの問題点は「お仕事5番勝負がダルい」や「マギアを壊していく流れが胸糞」、「MCチェケラ」などのご意見があると思いますが、いやいや、もっと手前のキャラ設定で問題があるんですよ!
ゼロワン最大の問題点、それは
其雄ヒューマギアの存在
です!!
「いやいや、其雄は良いじゃん!親がヒューマギアって或人の行動理念に繋がるじゃん!冬映画の親子対決エモいじゃん!」というご意見もあるかと思います。
確かにそういう側面も勿論あるのですが、逆を言えばそこに尽力しすぎたために皺寄せが来ているところがあるのです。
ゼロワンのディティールにおいての皺寄せ…いくつかの都合の良い設定やモヤモヤポイントが生じてしまっています。
それはザッと言うと
・ヒューマギアは身内のために生み出された
・違法物 飛電其雄に違法者 飛電是之助
・第一世代から完成されすぎなヒューマギア
・孫を巻き込みたい祖父とよく分からん父
そして それらを加味すると浮かび上がる
・其雄ヒューマギアさえ造られなければ事は起きなかったんじゃないか
という、あってはならない疑問すら浮かび上がります。
まず、それらが生じてしまう理由をお話しする前に飛電インテリジェンスと其雄ヒューマギアの具体的な設定をおさらいしておきましょう。
飛電インテリジェンス
次世代スマートフォン、通称“ライズフォン”で一躍IT業界のトップ企業にまで昇り上げた会社で(東映公式コラム)、ヒューマギア開発の発端は人工知能を医療に役立てることが1番の目的でした(第8話)。
其雄(ヒューマギア)
新1997年7月に亡くなった或人(約 生後2ヶ月)の本当の父親を模した第一世代のヒューマギアです(第15話)。
デイブレイクの際、まだ12歳の或人を庇い、大破、ゼロワン計画の個体であるためバックアップは存在せず、人間で言うところの死を迎えた(第13話)
幼児教育に役立てる名目で作られた他の父親型ヒューマギアの基礎となった個体でもあります(第25話・第35話)
悪意をラーニングした衛星アークの介入によるヒューマギアを利用した反逆を阻止するため仮面ライダーを造り、残した他のライダーに関わる発明を飛電社長の飛電是之助に託していました(第25話)
もうこの段階で矛盾が生まれてきます。
最初に、飛電がヒューマギアを開発したのは医療のためであれば、幼児教育に力を入れるのは先の話になると思うのです。
逆にヒューマギアの初期段階で幼児教育に力を入れる一環に其雄ヒューマギアを造ったとするのであれば、医療のためというのは建前になりますよね。
生前の其雄は立派な父親だったか分かりませんが、モデルとしては或人が生まれて2か月で亡くなっているため、適切な父親の理想形であったかという疑問が残ります。
それでは話が進まないので、とりあえず、医療用を口実に自身の孫のために父親を模したヒューマギアを造り、幼児教育を銘打って実験都市での一企画にしたとしましょうか。
次に、其雄ら第一世代からヒューマギアとして仕上がりすぎているというところに後の世代が技術の進歩を感じません。
違いはヘッドギアのようなデバイスの形状と外皮を纏わない素体のデザインだけが変わる程度のマイナーチェンジで、ビジュアル以外の差違を劇中から探す方がかなり難しいです。
そもそも医療用に造られたが発端であれば、医療現場において人間と見間違うほどの外見のAIロボットを作る必要はありませんし、何故ここまでプロトタイプの段階から人間に近づけることが仕上がっているかを考えると、其雄そのものを造ることが一番の目的ならば妥当になっていきますよね。
人工知能特別法「本人の許可がない場合、実在する人物と同じ容姿のヒューマギアを製造してはならない」(第6話)に抵触してしまう存在というのもおかしい話です。
その第6話、声優回では亡き娘を求めるあまりヒューマギアを似せて声優として雇う中年男性のエピソードが語られます。
この行為を違法としてA.I.M.S.は動くわけですが、人工知能特別法が決まったタイミングは分からないのでなんとも言えないのところではありつつ、其雄ヒューマギアを造った是之助も法以前に倫理的に現在から見ても危うい行為ですよね。
もしかすると、これから「何かあった時、私に模したアンドロイドを造っていいです」と強引に遺言を残される本物の其雄の回想が出てくるかもしれませんが、現時点で是之助は其雄の許可なく禁忌を犯していたことになります。
<全ては其雄ヒューマギアの話題性のため>
第6話のコラムにてプロデューサーはこんなことを言っています。
6話の話、いかがだったでしょうか?
違和感を感じた方がいたかもしれません。
「実在する人物にそっくりなAIロボを作成することの何が問題なのか?」と。
実は6話を作るにあたり企画チームが抱いた違和感が、そのままストーリーの中に盛り込まれています。
もちろん、ヒューマギアのように本当に人間の様なアンドロイドの技術は実際には確立していないので、現時点ではAIロボット製作そのものの法規制はありません。
ただ、迷ったときには我々は専門家の先生にアドバイスを仰ぎます。
例えば今回のようなテーマの場合、“もしAIロボットによって他人に影響が出る場合は法規制の対象になり得る。他人から無断で写真や映像を撮られたり無断で公表されたり利用されたりしないように主張できるという人格権は、顔などの外見上のそっくりロボットや、特定の個人の特徴が想起される動作するロボットにより、第三者の権利利益の侵害が生じる場合には訴訟の対象になり得る”と、いうご意見をいただき、その問題を問題としてストーリーに照らし合わせていったわけです。
制作は第6話のプロットを考えるまで故人のヒューマギアを造られることの是非は気にしていなかったんですね。
気にしていなかったどころか、「特定の人に似せて作るのはよろしくないって、お前らよく分からなかったでしょ?俺らもそうだったよ!」という論調です。
或人や其雄ヒューマギアについてキャラを考え、ゼロワンの立ち上げから物語の構想を練ったメイン脚本である高橋氏はこの回に関わっておらず、代わりにサブの脚本担当である筧氏が担当していました。
肝心の高橋氏はその間に別件(おそらく冬映画の執筆)に尽力していたと考えられますかね。
「或人の父親はヒューマギアでそれにより或人の特異な価値観が生まれた」というキャラ付けにおいて、父親ヒューマギア役に名の知れた俳優を起用することで冬映画の目玉とする計画がシリーズの立ち上げからありました(後述)。
先述の通り、そこにこそ其雄ヒューマギアの魅力が発揮できる金脈があるのでしょう。
冬映画の成功の方に躍起になって、今まで当然肯定されるべきとすら思っていたかもしれません。
父親を模したAIロボットとしてカードとしての一番の効果的な切り方ではあるのですが、逆を言えばそこしか考えておらず、造ってしまった是之助の立場や心情などは掘り下げて考えていなかったことが伺えるのです。
前々からしっかりと其雄ヒューマギア周りのディティールを作り込んでいれば、第1話以前に故人に似せたヒューマギアに対する疑問が生まれ、そこでAIの専門家に意見を仰ぎ、是之助が其雄を造る理由、もしくは其雄ヒューマギアは未来のあり方にそぐわないとキャラの練り直しが行われるはずでした。
しかし、第6話でようやく監修からアウトだという見解が出てきたところで、撮影を終えた第1話に大物俳優の起用という話題性を前面に出すことが決まっていては取り下げることもできません。
さらには監修の意見を仰いでいながら、最先端のAIの見地を無視して、セイネを肯定しまう展開にしてしまうことは難しくも恥ずかしい対処です。
そうして、其雄ヒューマギアの存在を否定しきれぬまま、さらには是之助のように亡き人を造ってしまった多澤を断罪できぬままに、あのどこか腑に落ちない第6話が出来たと考えると全て筋が通るのではないでしょうか。
<やりたかった冬映画のためにブレるTV本編>
大森:テレビシリーズを始めるとき、或人の祖父・是之助はすでに西岡德馬さんに決定していましたが、父親をどうしようかと考えているうちにクランクインが迫り、インしてからもしばらく悩んでいたんです(笑)。
冬映画で「ゼロワンの始まり」を描くならば、或人の父親は大事なキャラクターだな、ということで山本耕史さんにオファーをかけまして、第1話に出演をお願いしたんです。つまり山本さんを起用したのは、後に映画のゲストとして其雄を演じていただくところから始まっているんです。
冬映画の大きな目玉として其雄ヒューマギアは用意されたのは私がでっち上げた机上の空論ではありません。
大森プロデューサーがゼロワンを考えていく上で、『仮面ライダーダブル』をどこまで参考にしたかは分かりませんが、本編の序盤で恩師の死を見せ、その事の真相と恩師との対決の成功は『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』で東映特撮の歴史において成功が確約済みの企画として上がってくることもあるのでしょう。
直接のメイン担当ではないですが、『仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス』では自身の作品が『ゴースト』の主人公 天空寺タケルとその父 龍と絡み、同じく父の死の経緯が語られるお話です。
ダブルの際、怪人は造り出した偽物の恩師であったのに対し、ゼロワンは間違いなく育ての親 其雄ヒューマギアとの対立構図により因縁深い闘いが描けますよね。
そうなれば、其雄ヒューマギア役には本来ニチアサでは珍しい話題性のある俳優をキャスティングするのが当然の発想です。
さらにはキャスティングにこだわる以上、ヒューマギアの外見が演じる役者を分かりづらくするメカメカしいものにしてはイケません。
そうして初期型とはいえ、すでに精巧な人間の姿をしたヒューマギアということにしなければならないのです。
これが幼い或人の今後に思いを馳せるキャラクター像と合間って第一世代から心身ともに完成しすぎてしまった所以だと思います。
本来であれば、生後2ヶ月で父を失った或人に父親としての育児を任せるヒューマギアの容姿なんてどうでもいいはず。
しかし、認知度の高い俳優を努力して起用する以上、実際に血の繋がった父親も山本耕史氏に演じてもらう方が具体性がある…そうやって逆算的に其雄ヒューマギアの設定は造られていったと考えられるのではないでしょうか。
そして前述した通り、第1話の段階では冬映画でどうにでも振れるように抽象的な回想に抑えて描いています。
12年前、まだ少年の或人はよく分からない建物の前でいかついヘッドギアをしている其雄ヒューマギアを笑わせようとしている。
「ハハハ…。或人は面白いな」
「もう1回!心から笑ってない」
「何度やっても、結果は同じだよ」
「絶対、お父さんを笑わせるからっ!あっぷっぷ!」
すると突然爆発が起き、或人を庇った瀕死の其雄は言葉を遺します。
「或人…夢に向かって…飛べ…!」
…どうだ、ワケ分かんねえだろ?(©️ゴー☆ジャス)
都合良く近々で笑わせようと躍起になる或人少年に、笑わせることに執着させるような元も子もない話をする其雄ヒューマギア。
そして遺言には唐突に夢の話です。
何故、自分が大破してしまうぐらいの爆風が届くところに或人を置いていたのかも常に沈着冷静であることが利点のAIならあり得ないことですよね。
冬映画で語られた爆発の原因となる衛星アークを破壊させた爆風にしろ、工場長が暴走したヒューマギアを閉じ込めるためにした自爆行為にしろ、デイブレイクタウンから或人を離しておくべきでした。
この段階で是之助は何のために其雄ヒューマギアを造り、デイブレイクの最中では何をし、何を考えていたのか第1話の時には詰めて考えられていないのです。
(今思えば、第1話の段階でなんの爆風のつもりだったか定かではなかったのかも)
こちらも冬映画用に余地を残したとでも言いましょうか。
お話した通り、第6話でようやく制作が故人を造ることの倫理観を気にし始めたのが何よりの証拠なのです。
<貴方が親ならどうして仮面ライダーシステムを息子に遺す?>
突然の質問ですみません。
どうでしょう、どんな状況なら我が子のために仮面ライダーを作りますか?
逆に、其雄ヒューマギアの立場なら仮面ライダーゼロワンを育てた息子のために作るなら装着者は自分以外に誰を想定します?
「仮面ライダーを親が子供のために作って残しておいたらエモい」、それだけのために考えられた設定だと思いませんか。
一児の父として私の答えは、息子に危険な思いをしてほしくないので、息子が装着する用に作らない、です。
作るのであれば信用のおけるヒューマギアも用意し、彼に新しい仮面ライダーとして装着者に任命するかなと。
其雄ヒューマギアは是之助の根回しをどこまで想定したか分かりませんが、イズのように息子の横に居続けて守ってくれるヒューマギアにその仮面ライダーの資格を優先的に与える計画にしますよね。
『ゴースト』のタケルは大天空寺の跡取りとして抗えない運命に父が変身アイテムを遺しました、これはまだ分かります。
ゼロワンのベースになっていると私が推測している『ターミネーター2』のジョン・コナーも未来の救世主という運命の元、戦わざるを得ない宿命を背負っていました。
では、或人はどうでしょう。
確かに飛電社の社長である祖父に持つ或人は誰よりもヒューマギアの暴走と戦う運命にあったかもしれません。
であれば、22歳まで飛電社に関わることのない、AIとも程遠い業種であるお笑い芸人をさせないと思うんですよね。
「夢に向かって飛べ」をさせるのであれば、本人の意思に関係なく社長の座に就くことを強制させるべきではありません。
其雄ヒューマギアに何があったのか、どんな陰謀が待っているのかを説明しないつもりであれば、そのまま、アークとの戦いから遠ざけて安全な土地で「笑わせたい」夢を叶えさせようとするのではないでしょうか。
つまり、お笑い芸人を目指す或人を無理矢理引き戻す理由付けのために其雄ヒューマギアが死ぬところから物語は始まったのです。
『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』でアークの洗脳を受けなかった其雄ヒューマギアは、或人をヒューマギアが牛耳る世界で生き長らえるように立ち回ろうとは決してしませんでした。
それどころか敢えて或人と対峙する役回りを演じ、或人に倒されることで巨大な悪へと立ち向かう力、を身に付けさせようとしました。
メタ的な要素で言えば令和における新1号としての継承をやりたかったのです。
10歳の子にこれから起きることを全く知らせずに、事が再び起きるまで自由にさせるというのは戦わせる“跡を継ぐ”ことを望んでいない親がすることであり、敵のフリをしてでも子供を鍛えたいのであればそれは戦わせる運命を背負わたい“跡を継がせたい”親だということになりませんか。
其雄ヒューマギアの或人への教育方針はTV本編と冬映画でダブスタを決めており定まっていないんです。
このブレが或人を何もかもどこか定まり切れないキャラにしてしまった最初の要因ではないでしょうか。
大人になるまで放牧状態で育てられ、一大事にようやく召集、そこから社長の座と其雄ヒューマギアの思いを継げと言われて、キャラがしっかりしている方がおかしいのです。
<垓に憎まれたヒューマギア>
まだ具体的に明かされることはありませんが、第2章からの宿敵となる天津垓は何やら是之助を恨んでいるようですね。
その復讐劇として、或人に徹底的に敗北を味合わせ、飛電インテリジェンスさえも乗っ取ろうと画策していたわけです。
変身を解除した垓は「飛電是之助が遺したゼロワンを超えた」と満足げに呟く。
垓にとって或人の祖父・是之助(西岡德馬)は憧れの存在。
しかし、ヒューマギア開発に依存したばかりに飛電は凋落した、と初めて飛電インテリジェンス、或人との関係を明らかにする。
公式では、憧れさえ抱いていた是之助に対する思いをここまで歪ませてしまったしまった原因が“ヒューマギア開発への依存”としています。
「是之助のヒューマギア開発への依存」に関しては この記事で既に取り上げましたよね。
何故、是之介はヒューマギア開発に力を入れていたか、それは「発端は人工知能を医療に役立てることが1番の目的」となっていますが、ほぼ同時期、もしくはそれ以前に実の息子“飛電其雄”を模したヒューマギアを造り出していたことは前述の通り明白です。
ブレイキングマンモスは是之介が大規模災害を想定した大型救助システムとして設計していたのに対し、或人も含め、災害クラスの事件においても一切その用途で使用している形跡はなく、その口だけの綺麗ごとから鑑みると、ヒューマギアへの依存は孫を育てる息子の再現のためであったと疑わざるを得ません。
(実際は、災害救助のため、と制作にとっての子供向けらしい綺麗ごとをその場で見繕っただけにしても)
第9話でヒューマギアが活動を停止したことで国立医電病院がほぼ機能しなくなったことが問題になりましたが、お仕事5番勝負後にヒューマギアが回収されても医療現場での人員不足は混乱を招いているようには見えませんよね。*2
本当に力を入れたかったのは医療に役立てることだったのかと疑問が拭いきれないのです。
その日暮らしで病院回に「AIによる医療での活用は現実的だ」という受け売りの知識を制作がひけらしたかっただけで、今となってはもうそのこと自体忘れているとも考えられますけど(笑)
これから垓が是之助を恨むようになってしまったエピソードが語られたり、是之介がヒューマギアに対してどんなお思いがあったか語られる回想が差し込まれるかもしれませんが、それらはこの「自分の息子を造りたかったんやないんかい」という問題点から目を背けるため、制作は恐らく是之助に同じようにもっともらしい綺麗ごとを並べさせるだけだと思います。
そして、或人に其雄ヒューマギアをあてがうことが是之助のヒューマギア開発当初の目的だとすると、垓の暗躍も、アークの誕生も、滅亡迅雷.netによる破壊活動も、不破の過去改ざんも全て、其雄ヒューマギアが発端になってしまいます。
そうなれば、飛電インテリジェンスが同族で経営している以前の問題で、ゼロワン世界の危機は全て倫理感が狂った飛電家の身内問題がきっかけになったということになってしまうのです。
<故人の蘇生はタブー>
失った我が子を蘇らせたいという思うこと自体は間違っていません。
しかし、本当に死者を蘇らせてしまう行為は自然の摂理を無視した行為であり、誤った行いであることがゼロワンのAI監修にも分かっていたというのは6話でのプロデューサーのコラムに記されていた通りです。
この作り込まれていそうな世界で存在する人工知能特別法において本編中に出てきたものは
第一条
いかなる理由においても人間に危害を加えてはならない。
第六条
本人の許可がない場合、実在する人物と同じ容姿のヒューマギアを製造してはならない。
・
・
・
…えぇ、35回も回を重ねて、明かされているのはたった2つだけなんですよ。
エピソードにバリエーションがないから触れないのか、それとも全く決めずに監修の指示を仰いだ時にその都度追加しているのか…私は絶対に後者だと思いますけどね(笑)
そして、数少ない2つの内、第一条はMCチェケラ、第6条は其雄ヒューマギアとセイネで、飛電社製がしっかり抵触するなんて企業として問題です。*3
ましてや、人工知能特別法のディティールを詰めていこうとすると、故人の代わりに親代わりまでして教育し、対テロ対策とはいえ、独自に兵器を開発する其雄ヒューマギアは違反中の違反にあたり、第6条以外にも法に触れてしまいそうです。
其雄ヒューマギアの存在が当てはまる過ぎるが故に障害となり、もしかしたら項目を追加するにも難しいかもしれませんしね。*4
そしてアークの思惑を阻止する手段の見立てをミスしてしまい、間接的にでもデイブレイクタウンを丸々消滅させ、アークの反乱分子を残してしまったことを其雄ヒューマギアの美談にして良いのでしょうか。
そうして、軽率に其雄ヒューマギアという構想を制作が急いで造り上げてしまったせいで、冬映画は一定の盛り上がりを見せても、罪は開発主である是之助に背負わされることになります。
飛電インテリジェンスの大企業の代表に背負わすにはあまりにも大きな罪です。
過去の出来事とは言え、先代のやったことは大スキャンダルとしてゼロワン世界のワイドショーを騒がせるほどの内容と思いますしね。
結果としてそれは現在想定しうる未来にそぐわない思想、行為となり、ヒューマギアの誕生秘話に一つモヤモヤポイントを作り上げてしまったのです。
垓が別の観点で是之助を恨んでいたとしても、真の黒幕が垓や是之助をそそのかしていたとしても、其雄ヒューマギアを是之助が造ってしまった事実は取り消せません。(大事なことなので何度も言う)
私はこのコラムで再三に渡り、デイブレイクで或人を庇った育ての親に対して“其雄ヒューマギア”と呼ばせていただきました。
しかし、公式では“飛電其雄”と呼ぶのが正しい呼び方です。
ヒューマギアと表記するのは区別する必要があった墓石だけ。
つまり彼はヒューマギアという存在を超え、亡くなった飛電其雄そのものだということを言っているのだと思うです。
或人も其雄ヒューマギア以外に育てられた話を一切しません、そんなことは其雄ヒューマギアとの美談が薄れるので不要なのです。
「あくまで彼はヒューマギアであって飛電としての繋がりはない、彼はAIで模造品なんだ」という客観性さえも省いてしまったキャラ設定が、声優回の亡くした娘似のヒューマギアに娘とは別の名を付けた多澤以上に、ますます是之助を狂気の人物に仕立ててしまいませんか?
以前ブログでも取り上げましたが昨年末の紅白でAI美空ひばりから、架空の遺言「よく頑張ったわね、さあ私の分までまだまだ頑張って」という激励を観客に向ける演出が物議を醸しました。
それを故人の遺言のように言わせていいものなのかと。
同じように“飛電其雄”にしてしまったヒューマギアに其雄の言葉として或人に「夢に向かって飛べ」と言わせる重みを制作は気づけなかったんでしょう。*5
「其雄ヒューマギアは自らの意志で或人を思ってあの言葉を残したんだ!」、「言わされたAI美空ひばりとは違う!」と言いたいお気持ちは分かります。
しかし、所詮は後を見据えてとりあえず言わせたことを冬映画で補完させただけ。
其雄の役者を決めた程度で冬映画の内容を詰めていない第1話で、制作は名言を狙って言わせただけなのですよ。
飛電其雄という役割を担わされるために まだ生まれた理由も見出せず、生き方も決められていなかったヒューマギアの試作品たちは、其雄ヒューマギアは、或人が訴えるように「人間と変わらない」と断言できるんでしょうか。
もし、美空ひばりのファンがあのAI美空ひばりがファンに向けて発した言葉を紙に起こして額に入れて家に飾っていたとしたら、貴方はどう考えますか?
仮面ライダーヲタよ…
ゼロワンのこれからに向かって…飛べ…!
*1:「お笑い芸人から社長に」のプロットを手っ取り早く第1話に納めようとした結果が是之助に対して思いを馳せない或人であり、回想で笑わせたがる或人に繋がっていく
*2:国立でありながら“医電”という名を冠した飛電インテリジェンスの癒着の疑いがある病院だけがヒューマギアに強く依存していた可能性も
*3:実際は2バリエーションしか存在しない法案を取り締まる権限を持つ組織“A.I.M.S.”の奥行きのなさも露呈されてしまいます、内閣府直属組織でありながら担当の議員も登場せず、隊長は先日明かされた通りヒューマギアに襲われたと過去を改竄された平凡な人生を送り、技術顧問は別のAI企業からの出向とスッカスカ
*4:其雄以外にも現在の法ではなかなか許可のおりないことを平気でしていたヒューマギアがいたため、物語が成立なるかもしれませんが
*5:回想で本物の飛電其雄が生前から口癖だったとか言い出しそう。生まれて間もない或人抱いて「夢に向かって飛ぶんだぞ~」ってあやす、こじつけがキモいヤツ