ルナ太郎の腹筋崩壊ブログ

私は…仮面ライダーゼロワンの気になった所を大人げなく殴り書くのが仕事だから!

ゼロワンは読解力低下を促進し、死の概念をおかしくさせる?(仮面ライダーゼロワン第30話『やっぱりオレが社長で仮面ライダー』

遂にZAIAエンタープライズ・ジャパンが飛電インテリジェンスを買収した。

全てのヒューマギアがシャットダウンされ、リコールの対象になってしまう。

社長の座を追われ、飛電インテリジェンスから去った或人は、人間の生活から排除され廃棄されたヒューマギアたちを救うため、ある決断をしていた。

或人は、ヒューマギア解放を目指していた迅のもとを訪れて―――。

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ここで突然ですが、

ゼロワン抜き打ち国語テスト

 です。

 

 

[1]第1話「オレは社長で仮面ライダー」より

 

「私の…夢が…。」

支配人は破壊された くすくすランドを目の当たりにして崩れ落ちた。

「人類に夢を見る未来は来ない。ハハハ…!」

その姿を見下ろし、ベローサマギアは笑う。

この言葉に、其雄ヒューマギアに爆発から守られた光景が或人の中でフラッシュバックする。

「…笑うな!」

或人は思わず、声をあげた。

「何も分かってないくせに人の夢を笑うんじゃねえよ!

或人がベローサマギアを睨み付ける。

 

 

<問一>

或人は「人の夢を笑うんじゃねえよ!」と怒鳴りましたが、ここでベローサマギアは何に笑ったのでしょうか?イ~ハの中から適切なものを選びなさい。

 

イ.人類の見る夢

ロ.人類に未来が来ないこと

ハ.或人の笑いの厳しさ

 

 

 

[2]第25話「ボクがヒューマギアを救う」より

飛電或人(或)、天津垓(垓)、不破諌(不)のやり取り

 

或「自分でアークを生み出しておいて、滅亡迅雷.netを倒すために仮面ライダーの力を使うなんて…!」

 

垓「飛電は仮面ライダーという素晴らしい兵器を開発した。しかしアークという恐怖がなければ意味がありますか?」


或「仮面ライダーは兵器じゃない!」


垓「いいえ、人類を脅かす恐怖に立ち向かう人類最強の兵器。それが仮面ライダーです。いずれ軍や警察に利用されるようになれば、莫大な利益を生む。」

 

不「アンタに取っちゃ、エイムズも商売道具の一つに過ぎないってことか!」

 

(以下、一部省略。或人と不破が垓と口論する中、未確認のヒューマギアの反応があったため、垓を置いて反応のあった場所へ急行する)


或「さっきの事…腹立つよね。」


不「俺はZAIAの道具なんかじゃない!俺は…俺のルールで相手をぶっ潰す。それが…仮面ライダーバルカンだ!」


或「その先にある不破さんの夢ってなんだ?俺はどんな時も夢を忘れずにいたい。だから…人とヒューマギアが一緒に笑える未来のために戦う。それが仮面ライダーゼロワンだ。」

 

 

<問二>

なぜ、場面が変わり、或人はいきなり「不破さんの夢ってなんだ?」と訪ねたのでしょうか。或人の考えとして適切なものを全て選びなさい。

 

イ.不破の持つ夢の内容が心配だったから

ロ.不破に夢がないことが心配だったから

ハ.不破が夢を忘れていると心配したから

ニ.自分の願う夢を話したくなったから

ホ.自分の願う未来を話したくなったから

ヘ.自身の仮面ライダーの活動方針を話す流れになったと感じたので語る入りとして訪ねてみただけ

 

 

<問三>

或人は、夢を忘れないように未来のためどんな時も戦うと言いましたが、何故、戦い続けなければ夢を忘れてしまうのでしょうか。あなたなりの考えを書きなさい。

(                      )

 

 

 

[3]第30話「やっぱりオレが社長で仮面ライダー」より

飛電或人(或)、迅のやり取り

 

迅「ヒューマギアはみんな、僕の友達だと思ってた。みんなが滅亡迅雷.netに繋がればいいって思ってた。でも…お前に倒されて分かったんだ。友達を支配するだけじゃ人間と変わらない。人間の支配からヒューマギアを自由にしてあげなきゃってね。でも、ダメだった。結局、ヒューマギアはお前ら人間の道具だったんだ!」

 

或「俺は道具だなんて思ってない!」

 

迅「思ってるだろ!『(ア)夢のマシンだ』って言いながらお前はヒューマギアを壊し続けてきた!」

 

或「俺にとって、ヒューマギアと人間の境目なんてない!」

 

迅「ウソをつくな!」

 

或「ウソじゃない。俺は…ヒューマギアに育てられたからな。(イ)ヒューマギアの父さんに育てられた。(ウ)父さんのバックアップもなくて気付いたんだ。(エ)ヒューマギアの死は人間の死と変わらない。だから、大切にしたいんだ。人間と同じように(オ)ヒューマギアの心を。見捨てるわけないだろ。」

 

 

問四

ヒューマギアを人間の道具としないものとして或人が使う言い回しから相応しくないものをア~オの中から全て選びなさい。

 

ア.夢のマシン

イ.ヒューマギアの父さん

ウ.父さんのバックアップ

エ.ヒューマギアの死

オ.ヒューマギアの心

 

 

問五

或人は「ヒューマギアと人間の境目はない」と言いましたが、ヒューマギアに育てられたのであればかえってヒューマギアびいきになると考えられます。なぜそれでも境目はないと断言できるのでしょうか。推測で構わないのであなたの考えを書きなさい。

 (                      )

 

 

 

回答

私はそこまで良い学歴でもなければ、国語どころかそもそも教員免許もない無免許野郎です。

そんな私が作ったテストなので、正しい答えそしてそこへ導く問題になっていないかもしれませんので、ご容赦頂ければと思います。

 

そんな中、私なりの答えは

 

問一

ロ.人の未来

夢を見た先が存在しないことを笑っているので、夢の内容を笑ったことにならない。

 

問二

ホとヘ

まず、一切夢について話していなかったところからの唐突な質問だったにもかかわらず、不破に問いかけても彼の答えを待たないので、彼の夢の内容どころか有無も不明なので心配をしているとは考えにくい。

或人の夢については具体的に触れていないので、分かる事柄としては或人の未来についてだけなので話したかったことと推測できる(ホ)。

この会話のキャッチボールが成立するとすれば、夢に対する質疑応答としてではなく、仮面ライダーはなんたるかの順番だと見れば問題ない(ヘ)。

 

問三

言葉通りに取れば、或人が聞こえの良い言葉で並べた戦闘狂いか、目標を忘れやすくブレやすい意志の弱い人間だから。

不破の夢について耳を傾けない会話*1や自身の夢に具体的な説明がないことから、夢の内容ではなく、未来に繋がる夢を持ち続けることに固執し、常に戦う目的を持つことで自身の存在意義を保とうとしているのだと考えられる。

 

問四

アとウ

イに関して、この「夢の」は人間にとっての夢を指しており、立場の差が見える上に、無機質な「マシン」を用いているので境目がないように聞こえない。「未来のパートナー」など使役の関係が見えない、対象が人に対しても用いる単語を選ぶ方が良い。

またハにおいては、人にはバックアップに相当するものが存在せず、客観的な物言いになるため、正しい言い回しとは言えないと感じる。「父さんを救う手立て」などと言えばよかったのではないか。

 

 

問五

父親ヒューマギア以外に人間にもしっかり育てられてれば公平に境目がなく見られていると考えられる。

もしくは、言葉の矛盾が迅を説得するための方便にすぎないと仮定すれば、実際は「夢のマシン」や「バックアップ」と表現するように本当は境目を持って忖度しながら接していると考えられる。

 

 

何度も言うように私の回答が必ず正しいとは限りません。

…が、いい加減な会話劇や例え文句のせいで作品として、或人の認識や心情がちぐはぐに聞こえてくるのは間違いないと思います。

そのせいで制作のエモーショナルなやり取りに見せる思惑とは裏腹に、こちら側が歩み寄らない限りキャラクターがセリフを言わされているだけの無慈悲な存在に解釈せざるを得ません。

勝手にテストを作っておいてなんですが、本編では成立しているようでも、「結局、これってどういう会話流れだったんだ?」と頭を抱えるアンジャッシュばりのすれ違いコント台本のような会話劇ばかりでした。

これに迷わず即答で作品にとって良いように解釈できてしまう人が一定数いるのであれは、近年、児童の読解力低下が危ぶまれるのも仕方ないかなと感じてしまいます。

ゼロワンに疑問を感じずにすんなり受け入れてしまうと、普通の作品の感情読み解きが出来なくなるかもしれませんね。

 

回答でも述べましたが、作者、もしくは作者が意図している或人は「夢とは持ち続けるものであり、夢を持ち続けることは未来に繋がる。すなわち夢とは未来」などと拡大解釈しており、夢を持ち続けることが評価に値するんだと考えていると腑に落ちる局面が多々ありましたね。

夢を持ち続けていることが偉いのであって、持つ夢そのものの内容は問わない、それがゼロワンの訴えたい本質のように思います。

悪サイドは自身の計画を語ることはあっても夢として語らないのはそういう狙いがあってなのでしょう。

第2章の『悪意を持たずにAIに接するな』にプラスして、「とにかく常に夢を持ち続けろ」なんて、なんて息苦しくもおこがましい教えなんでしょうかね。

 

 

 

ヒューマギアの死?

ところで、今回、気になったのは或人の言う「ヒューマギアの死」の定義です。

或人はバックアップを持たない其雄ヒューマギアを“死んだ”と認識しているのは迅のやり取りで分かりましたよね。

刃が第3話で「バックアップがあるから破壊して問題ない」と説明してもニギローを討つことを躊躇ったのは、破壊され亡くなったと認識した父(親型ヒューマギア)の過去があったからなのでしょう。

 

リアル世界で私たちは、無宗教の人口が多いながら、仏教系の教えが少なからず浸透していて、魂と肉体が伴って一人の人間として活動しているとする節があります。

肉体が滅びることは死を意味し、魂だけ残っていてもこの世で生きているとは認識しません。

おそらく、それに近い理屈の応用で暗殺ちゃんは同個体にデータ(魂)を移し、“生き返る”再生怪人として成立していたように思います。

同じに等しい肉体がデータとマッチングしているから、経験値を活かしたまま復活できるという考え方です。

ゼロワンの雑魚戦闘員であるところのトリロバイトマギアはベースのヒューマギアの身長体重に依存するため、固定の背丈にはならないらしいですし、YouTubeで配信されたスピンオフでは腹筋崩壊太郎のデータを他のヒューマギア素体に打ち込んでしまい、マッチングが起きずに別の「腹筋崩壊次郎」をなるものを造り出してしまったので、おそらくこの理屈で間違いないと思います。

 

しかし、或人の言うように「データさえ残っていれば個体は復元可能で死ではない」とするのであれば、ヒューマギアにとって身体はデータを宿す単なる外殻扱いになりますよね。

つまり、「魂(≒バックアップ)さえあれば生きている」というSF的な考え方です。

仮面ライダーゴースト』では眼魔の世界に人々の母体があり、眼魂に魂を移すことで母体からリモートワークで別肉体を動かす仕組みがありましたが、これに近い考え方のように思いました。

 

しかし、母体とされるデータが削除される危機をプログライズキーにデータを移すことで、死から守ったとするのは決して間違いないと思いますが、とはいえオリジナル(に限りなく近い)の肉体がなければ、真に守ったとは言えないのです。

先ほどお話しした、暗殺ちゃんの兄弟機の素体を使って何度も復活した事実があるので。

 

スピンオフで見せたプログライズキーを利用したヒューマギアの復活は、上記でお話しした通りで、今回のイズの救出劇とは違い、別個体にヒューマギアキーからデータを打ち込むことでプログライズキー内のヒューマギアを生み出すというものでした。

これを公式では“転身”と呼んでいるようなんです。

 

腹筋崩壊太郎のキーをショットライズすることで素体ヒューマギアが腹筋崩壊次郎に!笑

転身とは職業をがらりと変えること。

このシステムは今後ヒューマギアの新たな可能性に繋がる…のか?

今後の飛電製作所の動向にご注目ください。

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これは、転職する意味のある『転身』と『変身』をかけ合わせた小粋なジョークです*2

 

腹筋崩壊太郎から郎になるということは生まれ変わる“転生”と言っても過言ではないでしょう。

もし、30話で粗大ゴミから拾ってきたあのヒューマギアの素体が何者か判明しなかった、もしくはそのヒューマギアが持っていたデータのバックアップを或人が残していなかったら。

もし、今後、過去回で活躍したヒューマギアを再起動させることができても、なんらかの形で破壊され、再び同じ素体を用意できなかったら。

そうなるとここで気になるのはあの言葉、「ヒューマギアはみんな俺が守る」です。

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守るというよりマモルに守られてたわけですが

 

転身させて難を逃れることを“守った”という功績にしてしまうことに疑問があるんですよね。

 

仮に或人の言う通り、人間とヒューマギアに境がないとしましょう。

遠い未来、私に余命いくばくかの不治の病あると発覚し、何らかの形で私の性格や記憶をデータ化しバックアップを取れたとして、病に蝕まれて肉体と共に死に行く私の意識とは別に、複製された違う肉体にバックアップを取った私を移すとなると、肉体と共に死ぬオリジナルの私の意識と別に、違う意識を持った私が生まれるということになりませんか?

本編で言うなれば、部員が勝つ姿を見たいと願ったコービーから別素体で似て非なる別のコービーを転身させた場合、別コービーに同じ部員の勝利する姿を見せられたとしても元のコービーの意識が抱いた願いを守れたとは言い難いと思うのです。

 

この転身の仕組み、現状で明かされた範囲では悪く言えばコピペみたいなものなんですよね。

スピンオフのように、元の個体(腹筋崩壊太郎)が稼働ある中で別素体にデータをコピペして似た個体を造ることが可能であれば、腹筋崩壊シリーズを簡単に量産できてしまうということになります。*3

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転身した割には同業者という或人のツッコミ待ち

つまり、何体もヒューマギアの素体さえ用意出来れば、本家イズのデータを打ち込むだけでイズ子やイズ美、イズ代が造れちゃうんですよ!

一部の人にとって夢のマシーン(苦笑)

其雄ヒューマギアのバックアップは確かにありませんが、もし万が一、あったとして別素体に移して第3の其雄を造ったとしても「父さんが生き返った!」と言えてしまえるんでしょうかね。

つまり、現時点でイズ以外の個体は同じ個体を見つけて同じデータを移さない限り、コピペ個体になってしまうということです。

イズだけはイズの外見のまま 視聴者に区別の付く状態でちゃんと回収された辺り、ヒロインとしての補正が入ったのが透けて見え、またしても作品に守られた存在に感じました。

 

人は死ぬよ

必ず死ぬ

いつか君も俺も死ぬんだ

 『我ら思う、故に我ら在り/氣志團』より

 

では、ヒューマギアにとっての自然な死というのは一体なんなのでしょうか。

ヒューマギアが肉体を持つということは、時にバックアップを取るコンピューターと切り離され、肉体が破壊され、そこで消滅する…死を迎える恐れがあるということはゼロワン本編で示した通りですが、人間のように死を回避したいという願望が生まれてしまえば、肉体にわざわざデータを宿すメリットはヒューマギア側に無いように思います。

データ上からの外出禁止を発令、予備のコンピュータを複数用意し、潤沢にバックアップを共有し続けられれば、ヒューマギアに死は訪れないのです。

或人の示すこの守り方なら、バックアップが残し続けられる限り、半永久的にヒューマギアを生かし続けられます。

しかし、そうなっていくと死が訪れない存在のヒューマギアが死を迎える存在の人間と笑顔で未来を迎えられるのは善や悪などでは片づけられないぐらいに複雑で困難なように思います。

冬映画でウィルが働く対価を求めるのおかしいと特ヲタが議論していましたが、そうなれば当然の発想になってきますよね。

何故、境目は無いと短命な人間の土壌作りを無償でさせられるのか。

わざわざ外界にデータを移してまで共に働くのは不平等で、この使役の関係は自我のあるヒューマギア側から見ればおかしい話です。

それでも本当に「人間とヒューマギアに境目ない!」なんてこちら側が一方的に断言できるのでしょうか。

私が或人の立場なら、もしヒューマギアに育てられた過去があっても断言できません。

だって事故でもない限り、ヒューマギアという未来のパートナーを遺して私だけが寿命で死んでしまいますから。

 

*1:夢に関しては第29話への前振りだったわけだけど、そもそもいきなり夢を問われて即答できる人なんているのかって話で、映像作品なら問われて夢を持ってない自分に疑問を感じる不破の表情ぐらいカメラで抜いとけって話。小説なら不破の心理描写書き出されるはずだし、そういう繊細な変化も映さないから問題作るにも会話だけ書き起こすしかない

*2:(棒)

*3:おそらくそこは何も考えられていなかったであろう最強匠親方5