ルナ太郎の腹筋崩壊ブログ

私は…仮面ライダーゼロワンの気になった所を大人げなく殴り書くのが仕事だから!

だって俺たち“闇堕ち”詐欺ライダーだろ?(仮面ライダーゼロワン第44話「オマエを止められるのはただひとり」感想)

 

 

アークワンとなった或人の復讐の犠牲になったのは、滅ではなく迅だった。

迅を失った悲しみによって増幅した悪意は、滅の中にもアークを生み出してしまうのだろうか。

もし或人と滅が再び戦うことになれば、人間とヒューマギアの全面戦争に発展しかねない。

諌をはじめとした仮面ライダーたち、そして飛電インテリジェンスの人々が、或人を止めるために動きだす!

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<闇堕ちとは(続き)>

2話前には大森上がりしました闇堕ち…あぁ、「大盛り上がり」でしたか…失敬失敬。

そんな大盛り上がりの闇堕ち展開でしたが、本当に闇堕ちだったのか疑わしいものです。

そう思えた点は

 

・滅以外は不殺を決め込む或人

・ヒューマギアに責められ逃げ出す或人

・ゼロツーと使い分けられる理性ある或人

・不破の犠牲で改心しない或人

 

と言ったところですかね。

闇堕ちした以上は、見境無く、行き過ぎた正義を振りかざし、徹底的に悪の力を酷使、故意に命を奪う犠牲者の一人や二人出して当たり前。

或人のように使い分けるなら裏の顔としてバレずに狡猾に復讐を遂げようとする

それが闇堕ちってもんですよ。

 

え?

「日曜朝にそんな展開は相応しくないから仕方ないだろ」?

 

…はぁ(馬鹿デカため息)

 

じゃあ、やりきれないなら初めっから闇堕ち展開に手を出すんじゃねえよ&盛り上がってんじゃねえぞって話になりません?

 

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例えるなら、ニチアサだからターゲットを考慮して子供のために ほしのおうじさまカレーを出してきたのに「これは本格的なインドカレー!攻めてる!」と感心してヲタクが恥かきましたって話ですよね?

情状酌量の余地のある闇堕ちなんて、主人公として、ただの「格落ち」展開の間違いだと思いますけど。

或人も不破の脳内チップを無効化なんて甘いんですよ、不破とは言わないまでも垓の首の骨ぐらいへし折ったらどうなんですか?

迅のような急に庇い来たキャラを殺めてしまう不可抗力展開なんて闇堕ち行為としては激弱ですよねー。

しかも、一度しっかり仕留めている相手をもう一度撃破することに過ちを犯す感も薄く、2度に渡って蘇らせられるとなれば、味がするわけありません。

せめて、殺るなら蘇らせられない人間の、非戦闘キャラがベストです。

滅なんて、闇堕ちしようが鍔のない刀もお飾りで人の一人も斬りゃしないですし。

 100歩譲って、生温い闇堕ちでもいいとしましょう。

ならば、堕ちるキャラがしっかり誠実なキャラにすれば、堕ちていく振り幅も大きくなるはずですが、肝心の或人って元々「闇堕ちしそうな考えが甘い不誠実キャラ」なんですもん。

 

これらの甘っちょろさは全て、改心した後を想定してあまりにも社長の立場や滅が社会に溶け込むようなことがあった時に状況が悪くならないための保険に過ぎません。

大して周囲を巻き込まずに或人と滅の生温い復讐劇が繰り広げられたせいで、デモ行進を尻目に私怨で戦ってる構図になってしまってますよね。

滅も或人待ちしてないで、デモに先人切って突き進んでくれる者こそリーダーのように思いますし。

 

こんなんなら闇堕ち展開なんて必要なかったんですよ。

もっと人間とヒューマギアの善悪を相対化して、どちらにも言い分はあることを、注意を払いながら描写できればヒューマギアのデモだってお飾りの雰囲気デモにならなかったはずです。

 

 

 

<或人と滅の因縁が少ない>

この聖戦とやらが2人の私怨にしか見えないと述べましたが、闇堕ちにするにはもっと二人に因縁を持たせるべきだったように思います。

 

仮面ライダーゴースト』では一見、眼魔世界の長アデルと主人公タケルの間に因縁はないように思えましたが、タケルの父 天空寺龍を殺したのはアデルということが判明し、二人の間に因縁という運命的なドラマが生まれました。*1

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一方、或人と滅との因縁ですが、最初は滅亡迅雷が引き起こしたヒューマギアの暴走で多くの友を失った不破に滅との因縁あったように思います。

それも記憶の改竄により、無くなってしまうんですけどね。

 

仮面ライダードライブ』では最終決戦に事の発端であり極悪非道な蛮野に対して主人公の泊進之介をぶつけるのではなく、彼の実の息子である霧島剛を当てたのが印象的です。

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逆に泊は序盤から立ちはだかってきた好敵手 ハートとのラストバトルで締め括ることで“因縁”という観点から良い対戦カードを用意できたと思います。

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では、或人の好敵手とは誰だったのかと考えてみると満場一致でこのキャラだと言う人物はいないんじゃないでしょうか。

迅は1クール目の終わりに、垓は3クール目の初めに一応の決着をつけたので消去法的に決着をつけていない滅が残ったという程度でしょう。

本来、或人に因縁深かったのは垓です。

あの爆風の原因で失った其雄ヒューマギアの仇はアークを作り出した彼のはずです。

 

 

…ただ、メタ的にはプロデューサーの中で大きな因縁が用意されています。

 

 

俳優部といえば、次回はゼロワンと滅の最終決戦。

そう、令和の仮面ライダーを引き継いだ縄田さんと、ミスター平成ライダーこと高岩さんの真っ向対決です。

一瞬も見逃さないでください。

1年前から想い描いてきたこの最終決戦を、杉原監督と渡辺アクション監督が予測を上回る見事な演出で描き切っています。

最後です。

俳優たちの芝居と、熱い熱いアクションを、ぜひご覧ください。

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つまり、行き当たりばったりに思えた『ゼロワン』の中で平成の主役ライダーのほとんどを務めた高岩氏を最終回で縄田氏にぶつけることだけは計画通りだったということになります。

さらにツイッターで見かけた解釈ではこんなものもありました。

アーク滅の変身音に

 

「The conclusion ofter evil climbs the top of the highest mountain of rock.」

 

というフレーズがあり、和訳すると「最も高い岩の山の頂点を越えた悪の先にある結論」となります。

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後半の「悪の先にある結論」は物語に関わることですが、前半は「アーク滅を”高岩成二の頂点“としているのではないか」ということなんです。

「岩山」にしたいのであれば本来”rocky mountain“と表記するのがネイティブで、”mountain of rock”とするのは いかにも意図して強調しているように感じます。

平成ライダーの頂点、高岩氏を最終回にぶつけることで令和ライダーのこれからを暗示したいというところかと思いますが…

 

そういうメタは劇場版でやればよくないですか?

 

というか、それ冬の1型の時にやりませんでした?

 

そして、001の前に立ちはだかるのは、其雄(演:山本耕史さん)が変身する仮面ライダー1型です。

こちらを演じてくださったのは、、、レジェンド"高岩成二さん!!!

其雄は「サイクロンライザー」で仮面ライダー1型に変身します。

001と同様にメカニカルなデザインではありますが、青緑のボディに深紅の襟はどこか懐かしさを感じます。

そして、今作の最大の見せ場の一つが、001と1型のバトルシーンです!

其雄と或人、父と子が相見えるこの戦い。

そしてそれは、高岩さんと縄田さんとの戦いでもあります。

平成から令和へ。

元号の変わった今だからこそ出来る、ミスター平成ライダー高岩成二と、その意志を託された縄田雄哉の熱き競演にご注目ください。

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厳密に言えば、今回の「高岩を越えて行け」というニュアンスに対して、冬の劇場版はゼロワンの敵に1型やアナザーゼロワン、アナザー1号などを用意することで「“1号”の伝承」のようなメッセージが込められていたと言い逃れできなくもないのかもしれません。

だからと言って、TVシリーズにそんなメタを匂わせるメッセージが、必要性があったのでしょうか?

 

…ありませんよね。

ジオウの世界観に感化されちゃったんでしょうかね。

 

せめて、飛電家三世代の話だったのですから、昭和・平成・令和と3つの元号にも続いたライダー伝に置き換えることが出来ないこともなかったでしょうに、扱ったテーマはAIにお仕事、夢を持つことの重要性ぐらいなもんで、シリーズとしての継承、新しい門出という意味合いはなかったはずです。

せめて、AIを信用しない古い考えの政治家、人間だけの力でなんとかしようとする保守的な古い考えのキャラを尻目に飛躍し続ける若者たちなどを描ければ「世代交代」として平成ライダーから令和ライダーに託す意味合いも物語に生まれるじゃないですか。

 

 

 

<ゼロワン世界の“仮面ライダー”とは>

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次回予告のこのセリフを聞いた時、開いた口が塞がりませんでした。

恐らくここで指すライダーと言うのはゼロワン内での定義されたものだと思うのですが、唐突すぎてまるでメタ的な意味合いに感じてしまいましたよね。

 

ところで、第44話の終わりに登場したゼアの中の其雄ヒューマギアは或人に何を語ったのでしょう。

(語りを見せずに次回へ引っ張るのもズルい作り、最近、こんなのばっかじゃないですか?)

 

恐らく、ライダーシステムを開発した張本人の口から「仮面ライダーとは」を語られると思うのです。

…というのも、過去に主要キャラなりのライダーを25話で語るシーンがありました。

 

人類を脅かす恐怖に立ち向かう人類最強の兵器。

 それが仮面ライダーです。

 

不破

俺は…俺のルールで相手をぶっ潰す。

 それが…仮面ライダーバルカンだ!

 

或人

人とヒューマギアが一緒に笑える未来のために戦う。

 それが仮面ライダーゼロワンだ。

 

人間からヒューマギアを解放して自由を与える。

 それが僕、仮面ライダー迅だ。

 

垓は問題外としても、てんでバラバラです。

そもそも、最初に「仮面ライダー」という言葉が出てきたのは不破がバルカンに初めて変身した時で、作品内に仮面ライダーという言葉がキャラクター全員に定着していたのか怪しいぐらいです。

私にはとても定着してない、単語が出る時はいつもわざとらしく名前を出してきたとさえ思えました。

 

滅に関しては自身の仮面ライダーの定義を語ることはなかったので、恐らく、其雄ヒューマギアがこれから示す本来の仮面ライダーの定義をソースに或人は説得を図るのではないでしょうか。

少なくとも或人は主人公の器足り得ないので、自らの言葉で滅に仮面ライダーを押し付けたところで説得力がありませんから(笑)

(仮面ライダーバルキリー…の定義?誰それ?)

 

生物種のデータイメージを保管するためのシステムデバイス

人間の生活を豊かにする為、その能力を安全且つ有意義に利用し、宇宙開発、災害、極地、酷所での人道支援等を視野に作られた。

www.tv-asahi.co.jp

 

これは公式が出したプログライズキーの説明文です。

マンモスキーに限らず、元々世のために作られたということで、滅や迅も盗品とは言え、絶滅種ではないプログライズキーを使用していたことから真の意味で悪のライダーにさせる予定はなかったのだと思います。

だから、この用途辺りを根拠に、もしくは語らずとも前提に或人は説得されるのではないかと思えてしまうんですよね。

 

今回の死闘()も闇堕ち()も或人からの歩みよりで和解という形で幕を閉じる…としたいところですが、そこは最終回らしくもう一盛り上がり持たせるため、新しいダークライダーを登場させることで或人と滅にもう一度方向を向かせ、最終的にはオープニングの5人が並ぶ構図に持っていけるシチュエーションを作る魂胆なんだなと感じました。

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悪のライダーはアーク系のライダーで、それ以外は善玉ライダーだということにしたいのでしょう。

(ゼツメライダーの雷や亡?誰それ?)

 

 

 

<其雄ヒューマギアって存在しちゃって良かったの?>

終盤に現れたゼア内の其雄ヒューマギアはなんなんでしょうか。

ゼア内に存在出来たというだけで「人間でいうところの死を迎えた」という設定がブレます。

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残留思念…SFらしく断片化されたデータのようなものかもしれませんが、ここまで出来てしまうと逆に復元出来ない方がおかしい気がしてきます。

ゼアの中ならば、イズがいてもおかしくない、そういう話になってくるのです。

 

しかし、蘇らないイズから喪失感に飲まれ、闇堕ちしたのが現状の流れです。

そこに同じ条件のキャラをデータ上でも、例えそれが一時的なものでも生き返してしまうことは闇堕ちから何から台無しにしてしまいます。

 

(実は生き返せた(生きていた)のにそれが分かるのが遅すぎて、闇堕ちして非道の限りを尽くしたせいで生き返したかったキャラに失望されてしまい、そこで真の闇堕ちを起こしてしまう過激展開も世の中にありますが、そんな激辛“闇堕ち”カレーなんてニチアサに期待なんかする方がおかしいでしょうし)

 

まして、イズが蘇る兆しを見せて、蘇らせられると信じさせて或人を立ち直らせることは話が変わってきますし、キャラクターの成長を妨げることになりかねません。

是非とも最終回にこれまで共に歩んできたイズは回想以外で登場してきてほしくないですし、淡い期待を抱けるような展開は勘弁してほしいですね。

 

友の家族を蘇らせる旅を前向きにしている最中に、自身の恩人である故人とたまたま奇跡的に出会えるなんて倫理観をさほど気にしないコメディ寄りのバトル漫画とはワケが違うんですから。

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そもそも、ゼロツープログライズキーはイズのセントラルメモリー*2が変化したものなので、イズに関するデータが全く残っていないと考えにくく、いくら蘇らせないと説明されても緊張感が出ませんね。

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迅は2回目の復活を遂げるとなれば、なおのこと。

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プロデューサーはなんと言っても、担当ではない『仮面ライダーオーズ』のキャラクターをも蘇らせてしまった大森氏ですから。

 

ただ、さうざーの時のように或人の尻を叩くためゼアが用意した なんちゃって其雄ヒューマギアなら、あまりに不誠実な『ゼロワン』にピッタリで賛辞を贈りたいぐらいなんですけどね。

 

彼らと同じくゼロワン計画に関わっていたワズは自分のセントラルメモリーを差し出すことでシャイニングホッパープログライズキーを生みましたが、其雄やイズがデータ上で存在していた原理が明かされても恐らく今後の出演はないんでしょうね(笑)

 

 

<Oh,ジャパニーズオルトロス!>

なりましたね、フェンリル()バルカンではなく、片方の頭がニホンオオカミオルトロスバルカンに(笑)

2匹の狼が揃ったことで、狼大喜利としてギリシャ神話で双頭のオルトロスに白羽の矢が立ったのだと十分に理解しております。

なので、ここから野暮な神話考察は致しませんのでご安心ください。

(Vシネで「人・ヒューマギア・夢」掲げて三首のケルベロスはやりそうですね)

 

不破は或人を止めることができませんでした。

止めるどころか、まともに相手にもされず、オーバーヒートしてショットレイザーごと壊れるという自滅でしたね。

それどころか、不破氏を演じた岡田氏による渾身のアドリブ「或人ぉ!」もカットされる始末。

それもそのはず、不破の役目は奇跡のフォームで視聴者をエモらせるだけなんです。

 

本来であれば、2号ライダーとして近いところで或人と共に戦ってきた不破に物語として止める権利はあるように思えますが、なし得ません。

それもこれも其雄ヒューマギアに止める言葉をかけさせる構成が控えていたためなのでしょう。

この構図に持っていくためには、不破のパンチが或人の心に届く必要がありません。

いや、心に届いてはイケないのです。

 

不破はさしずめ、使用期限が切れたクレカと分かっていながらレジで一か八か読み込ませようとする迷惑客

ノープランのポジティブシンキングで或人の前に立ちはだかった形無しレギュラーメンバー

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変身できずの不破に、滅に着いてくと誓ったはずの亡がエンジニアでありながら運用に問題のあるままのプログライズキーを譲渡する。

あとはプレバンでプログライズキーが売れるよう格好良く変身し、或人に情状酌量の余地を持たせるため或人の手を汚させることなくテキトーに倒れてくれればいいんです。

余計な熱がこもったアドリブでは、それを無下にする或人が悪者に映ってしまうため、制作的には迷惑なのですよ。

 

ゼロワン制作

「暴走した“お前を止められるのはただ一人…俺だ!”を止められるのはただ一人…お前!じゃなくて、ヒューマギアの父親だ!」

 

 

<福添を説得できるのはただ一人…アイだ!>

あまりにも万能過ぎるのでもう登場しないかと思っていたアイちゃんの再登場には驚きました(笑)

以前、アイちゃんを「ゼロワンに足りなかった人格者、おやっさん枠」と称させて頂いたのを覚えてらっしゃいますでしょうか。

ここに来て或人とイズが不在になるともう誰もレギュラーで福添に鶴の一声を上げられるキャラはいないという、作品の土台が出来ていない事実上敗北宣言ですよね。

ここから手っ取り早く説得するにはアイちゃんしか頼れないのです。

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福添一派自身も実に頼り甲斐の無い存在でした。

土下座で解決というのも今の時代にそぐわないのに設定は近未来ですし、この日の福添カタルシスのためにうだつが上がらない期間が長すぎたように思います。

恐怖に怯える或人に激を飛ばした時なんてさんざんパワハラを受け「垓を社長の座から引きずり下ろしたい」という理由で助け船を求めてた状況の後でしたし。f:id:luna_tarou:20200827210223j:image
ZAIA社員の出火で死にかけたところを助けてもらったのを忘れているのかな?

 

そもそも、アイちゃんは何故福添の夢を知っているのかということです。

アイちゃんの存在は36話からですから、福添の人となり、夢についてなどパーソナルな部分を知るにはまだまだ時間が必要に思います。

…ということは既にアイちゃんは調べていたことになりますよね。

飛電社、ないしはゼアがあらゆるライズフォンのユーザーデータから所有者のデータを保有していたとして、それらの閲覧権限をアイちゃんが持っていれば、ユーザーの行動、好みや悩み、裏アカウントでの発言さえ知ることができると思います。

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プラス、監視カメラやICスキャンを行う端末などライズフォンと連携している機器の情報も統括していれば、アイちゃんはプライベートの全てを把握することが可能だと思います。

 

第一、アイちゃんは今回のヒューマギアの暴動、或人の闇堕ちをどう思っているのでしょう。

「私はヒューマギアじゃないから関係ない」とミニマム炊飯ジャーは思ってるのでしょうか。

先程の「人類の個人情報、アイちゃんに筒抜け説」に関係なく、これだけのヒューマギアが影響を受けている中、何も思わないとするとそれはそれで異常なのです。

SNSでもよく優等生発言キャラみたいないじり方をされていますが、こんなに俯瞰した中で慈悲深く他人に接せられるのは自我がないからじゃないかと思うんですよ。

つまりアイちゃんは、或人がアイデアを出した四肢なし、顔なし、自我なしのコミュニケーション能力に特化した安全なAIだということです。


会話術やマナー、心理学などのノウハウを結集した人間を気持ちよくさせるための会話プログラムを搭載しているため、不破、刃、垓(叩き潰されなかった)、福添と面倒くさい連中を落として来たと考えられるのです。

 

 

アイちゃん

私は知ってるよ。

 誰よりも長くこの会社を守ってくれたのは副社長だって。

 今こそ副社長の夢を実行に移す時なんじゃない?

 

福添

夢…?

 あぁ、世界一のナンバー2は私だ!

 

 

この会話、アイちゃん側から夢について具体的に話してないので、夢を把握していない可能性すらあるのです。

相手の苦労に理解を示し、聞き出せていない無い事柄も気持ち良くして話させるというのはインチキ占い師や詐欺師でよく聞く話術のヤツですよね。

それならば、福添の個人情報なしにもアイちゃんに知ったような口を利かせることだって出来ます。

 

とにもかくにも、AIが自身の存在意義なんて考えなければ、ヒューマギアの暴動なんてどうでもいいですよね。

ただ誰かに暴動のことを聞かれた際には最もらしい綺麗事を述べられればいいんですから。

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もちろん、アイちゃんが描写されていないところで福添たちと打ち解けていた可能性があります。

『ゼロワン』でありがちな近未来なのに古くさい描写で考えられそうなのはこんな感じでしょうか。

 

屋台のおでん矢に福添一派が3人で腰を掛け、カウンターにはアイちゃん大将が黙々と仕込みをする中で福添が泥酔しながら或人の不在に対するフラストレーションをアイちゃん。

大将が黙々と仕込みをする中、泥酔した福添がアーク化し不在となった或人への不満をアイちゃんに聞いてもらう。

 

そんなことがなかったとは言い切れません。

(そもそも本当はシェスタに打ち明け、打ち解けるべきだったのでは?)

しかし、上でお話ししたような、福添の個人情報を盗み見したり、巧みな話術で自身で鼓舞するように誘導した可能性だってなくはないのです。

 

 

<擁護派の言う想定力、読解力とは>

先ほどのアイちゃんの解釈を「どうしてこんなに悪い解釈が出来るのだ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私には他のヒューマギアたちより遥かに出来すぎて、得体も知れず薄気味悪く見えるのです。

 

数日前にネットで「ゼロワンを酷評する人は想定力や読解力が足りない。考え、感じれば見えてくるものがある。」といったような趣旨のゼロワンを叩く特ヲタへの苦言を目にしました。

その“想定力”や“読解(理解)力”というのはしっかり背景まで考えられてある、かつ、誠実に作られたと感じられる作品にこそ発揮してあげるべきでしょう。

しかし、『ゼロワン』はそれに当てはまらないと思います。

 

「ライダー=絶対善」という認識は過去の作品群が積み重ねてきた信頼から来るものです。

しかし、その認識を端から持って視聴してしまっては新シリーズを作る制作に驕りに繋がってしまいます。

主役ライダーは善、主人公側にいるキャラクターも漏れなく善良であるという前提は約束されていません。

仮面ライダーという作品が主人公や仲間の成長譚でもあるとするならば、そこに行く過程を楽しむべきで、既に持ち合わせているということにしてしまうのは間違った認識ではないでしょうか。

仮面ライダーになる者のすることだから何でも善行の上でのこと、なんてことはないのです。

 

立場によっては何をやっても許されるというのは子供に見せられる番組ではないように思います。

 

この行いが善行かどうかは本来、登場人物に促されて認識していくのではなく、視聴者自身にどう感じたか委ねられるべきなのです。

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二度目の使用

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自分で言うセンスの無さ…あ、ごめん、ビルドだった

 

そうやって絶対善として信頼して見ている視聴者の前提を逆手に取り、意表を突くことで作品の面白さに繋げようとしているのが「おやっさんが黒幕」展開の『ビルド』や「主人公が闇堕ち」展開の『ゼロワン』です。

闇堕ちという展開は絶対善という前提があればあるほど、楽しめるようになっているのでしょう。

誠実だと思われているから敢えて羽目を外しても許してもらえる、それどころか、楽しんでもらえた上に作品が誠実さは損なわないと思っているって、それって作り手に舐められてるんじゃないですかね。

しかし、或人の穴だらけの言動を見ていれば、大した意外性なんてないのはブログの初めにお話しした通りです。

コロナ禍による尺短縮だろうが、目まぐるしく展開することにばかり重きを置くのではなく、こちらが脳内補完しなくとも感じ取れるように人格形成について過不足なく描いてくれればいい、それだけの話です。

そうしてくれるのであれば、「いつ移動した」とか「どれぐらいの時間が経過した」なんていくらでも補完してあげますよ。

 

 

作り手が穴のない誠意の込めた作品を届けてくれるから、受け手の私たちは穴を穿ることなく信頼して好意的解釈の補完を向けられるのです。

作品についている穴を埋めてあげるのは受け手の仕事ではありません。

穴の付いたまま出すような姿勢であれば、こちらも作品の不誠実さを前提に想定、読み解くことになって仕方ないでしょう。

「穴ぐらい埋めてあげろ」、「穴でも良いものとして評価しろ」という反論があるならば、それは穴を出す側への落ち度を認めるようなものだと思います。

私はインディーズ制作の、もしくは潤沢にお金だけはあるアマチュアが作った穴だらけの作品を見させられているのでしょうか。

これは穴じゃないデザインなんんだと擁護できると思うのならその汚ならしい腐った穴を自信を持って愛でて差し上げてればいいと思いますよ。

 

以前、ゼロワンに所々穴があるのは後で後付けしやすいようにするためだ、お話しさせて頂きました。

そして、テンポ良く展開することで視聴者に感動しきる間もなく次々で話が進んで思考を追いつかせないようにしているというのもお話ししましたよね、覚えてらっしゃいますでしょうか。

バルカンのくだりでイジりましたが、今回のサブタイトルは「オマエを止められるのはただひとり」です。

で、誰が誰を止めましたか?

予告でバルカンを見せて、或人を止めるのが不破の熱い展開だと思い込ませる。

タイトル詐欺ですよね?

或人は止まりましたか?

不破が止めきりましたか?

主人公の決め台詞を持ってくるなんて腕があるように感じますが、本編の内容と矛盾するなら上手くもないですよね。

最終回手前にこんなにも不誠実でしょ?

擁護してあげても恥をかかせてくる…それでも躍起になって擁護してあげる価値ってこの作品にあるんですかね?

 

 

<雑感>

他にもAI特別法第一条「人間に危害を加えてはならない」もメイドヒューマギアによって破られたことが気になります。

そもそも、AIMSは少し前まで政府の関与しない私設武装組織だったことに驚きです。

刃が人間は撃たないスタンスであること決意したのはまあいいです。

でも、またヒューマギアに落ち度があるような状況に持っていきましたよね。

別に叩こうとして寸止めでも良かったの想うのですが、若干の血を流させて良しとするのは杉原監督の性癖なのか高橋脚本の意地悪なのかどっちでしょう。

いずれにせよ、機能しない特別法や武装組織を統括する気のない政府ってお飾り過ぎて、逆に語らないほうが良い気がしてきますよ。

そんな無責任な政府なんて…実際にって、え!?

安倍ちゃんがコロナをどうにも乗り切れぬまま病気で辞任!!?

 

与太垣もアイちゃん同様に便利キャラとして無理やり良いポジションにつきましたね。

飛電もZAIAもろくな社員をレギュラーにしなかったせいで、かなり後半に現れたキャラに委ねるしかないというのは計画性がない証拠だと思いますよ。

 

刃に言いたいこともありますが、この時点で10000字書いてしまったので、ゼロワン第44話で思った所感はこれぐらいで終わろうと思います(笑)

それでは皆さん、良いゼロワン最終回を。

*1:冬映画とパラレルだからと仇の相手を変えたのはいただけないけど

*2:ネット界隈では通称「耳クソ」