ルナ太郎の腹筋崩壊ブログ

私は…仮面ライダーゼロワンの気になった所を大人げなく殴り書くのが仕事だから!

ゼロワンが雑な急展開始まったのはビルドの第2話からですよ?(仮面ライダーゼロワン第15話「ソレゾレの終わり」)

第15話が終わり、ゼロワンを叩く声が挙がってるようですが、ちょっと気付くのが遅いって感じですよね。

 

「職業紹介はしっかりしていたから信頼していた」?

「今回は諸田監督が悪い」?

 

いえいえ、この15話目から崩れ始めたのではなく、前からゼロワンが破綻しそうな兆しは以前から見受けられたと私は思います。

その話数というのが…

 

仮面ライダービルド第2話「無実のランナウェイ」です。

無実の罪を背負ったままの脱獄犯・龍我をバイクに乗せ、東都政府の前から逃げたビルド。

正義の味方であるはずの仮面ライダーは一転して、指名手配犯になってしまった。

カフェのマスター・惣一にドヤされながらも、ビルドこと桐生戦兎は、自分の記憶の謎解きにつながるかもしれない龍我を秘密基地に匿い事情を聴く。

龍我が殺したとされる科学者・葛城巧の部屋を訪れた際、龍我が葛城の死体を発見したタイミングで警察が踏み込んできた。

事件は仕組まれた可能性がある。

それ以上のことは語れない龍我のはずだったが、なぜか秘密基地から一人で逃げ出して―――。

www.toei.co.jp

 今回のゼロワンはこちらです。

仮面ライダー雷との戦いの末、滅亡迅雷.netのアジトがデイブレイクタウン付近にあることを突き止めたA.I.M.S.は、ついに掃討作戦を実行する。

アークの知能が目醒めたことで、今まで以上の力を手に入れた滅亡迅雷もまた、真っ向からA.I.M.S.との戦いに立ち向かう。

そんな中、或人は雷電という兄貴的な存在を失った宇宙飛行士型ヒューマギアの昴を連れて、飛電家のお墓を訪れていた。

ヒューマギアであり父親代わりの其雄の一部も眠っているそのお墓の前で、ヒューマギアの遺志に想いをはせる或人。

そんな或人のもとに“滅亡迅雷.net掃討作戦”開始の一報が入る。

それは、人間VSヒューマギアの最終決戦の幕開けを意味していた。

www.kamen-rider-official.com

 

 

そう、ゼロワン第15話の破たんは2年前から決まっていたこと、総てはライダー神話によるもの。

進捗率は…ってしかし、あの天津垓の言い回し、全然面白くないなぁ。(おい)

 

 

「なんでゼロワンの前やねん!」とお怒りの、記事を読まれてる方にちょっとこちらを読んで頂きたいのです。

ビルド2話に関する急展開に、脚本を担当していた武藤氏がこのように発言しています。

 

 

大きなストーリー構想は最初に出来ているので、それをどうやって見せていくかが毎回のシナリオの重要なところなんです。例えば、このネタは第20話あたりじゃなくて、第2話でやろう!とこちらが提案したとき、大森さんからは「いや、それは第20話じゃないですか」とはならず、第2話でやるのならここをこうしたほうがいいという意見が出てくる。こっちの考えに乗っていただいた上で、より効果的な見せ方を考えてくれるんです。こういったさじ加減は、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」をずっと手がけておられる経験値の大きさとして実感しています。

 

最近、よく言われるんですよ。「この番組、1年あるんですよ。大丈夫ですか」って(笑)。もちろん、何も考えてないわけではないです。テンポが速い、展開が速いというのは、僕が今までやってきた大人向けの連続ドラマのスタイルがそうだったというのがありますね。新人のころ、監督から「第5話でやることを第1、2話で見せ切ってしまうのがお前のスタイルだから。(従来の)連ドラの速度に染まるなよ」と言われたことがありました。そういう部分が自分の個性だと思っていたんですけれど、「仮面ライダー」でも同じことを言われて。「ああ、ちゃんと自分らしさというものはどんなジャンルでも出てくるものだなあ」というくらいの感覚ですね(笑)。『エグゼイド』を観て、あの情報量の多さが面白かったので、よけいに展開が早くなっているかもしれません。「もっと速くしてやろう」と思っていましたから(笑)。

https://news.mynavi.jp/article/20171209-kamenrider/2

 

つまりは元々、龍我の恋人である香澄の死に関するエピソードは20話辺りに予定されていたのですが、スピード感重視のため、O森Pの提案も踏まえつつ構成を変えて2話に持ってきたということですよね。

しかしリアルタイムの時から、私はそもそもの「香澄の死が早すぎる」と思っておりました。

皆さんのビルドを絶賛する声が多い中で、「あれ、ビルド心配だぞ?」と感じていたんです。

 

…と言いますのも、死が早いというより、死なせてしまうプロセスが早いように感じたからなんです。

この回では、ナイトローグが人間のハザードレベルとスマッシュの関係を説明し、香澄は変身解除を受けると死んでしまうと説明していました。

それを聞いた戦兎は数秒間だけスマッシュと香澄を引き離すことを試み、龍我とわずかながら会話をさせる時間を作り、彼女は霧化していく、という絶賛する界隈では屈指の名シーンとなった…わけですが。

 

私としては戦兎にとって自分の記憶喪失と関係あるであろうナイトローグという疑わしい輩の言うことを鵜呑みにし、「さあ、実験を始めようか」が決め台詞のヒーローなのに何も試さずに結果的に救う道を模索せずに死なせてしまうことが解せませんでした。

なぜ、なんの試みもせずに数秒間の引き剥がすことで最期の別れを選択したのかは“戦兎が少し人とピントのズレたマッドサイエンティストであるから”と後々になれば解釈できますが、この時点ではその理解の余地もないので単に脚本家サイドの「スピード感重視の代償」以外の解釈は出来ません。

上記のインタビューの抜粋した内容から察するに、もし当然起こりうるであろう戦兎の香澄を死なせてしまうことへの葛藤や、科学者として香澄を助けるいくつか実験してみるくだりを設けては第2話に収まりきらないので、武藤脚本の持ち味のためにそれらはそぎ落とされていったんだと思います。

 

要は何が言いたいかというと、ゼロワンで度々言われていた或人の一部サイコパス的とも取れるヒューマギアに関する思想は、スピード感重視による必要な描写のオミットから生まれたものであり、視聴者にそう思わせたところから既に雑な急展開は始まっていたのではないか、ということなんです。

脚本家が武藤氏から高橋氏に移ろうが、舵取りをするプロデューサーは同一人物であり、エグゼイドからビルドへと詰め込む量だけでなくスピード感も足して成功してしまえば、それらに向けられた賛辞が制作の成功体験として残りますよね。

ゼロワンではその成功体験から、さらにドラマを詰め込み、ストーリーの展開をより早める形でフィードバックしてしまうのは作り手の画策としてなくはない話のように思えてしまいます。

放送期間が一年もあるとはいえ、詰め込める情報量やスピード感にも当然キャパはあると思います。

ビルドで後半は間延びするくだりがあったり、とりあえず死なせて盛り上げる展開にひねりがないままに乱発したりとあの時点で多すぎる情報量と展開の早さにおけるペース配分は限界に達していたと受け手にも察せられるのではないでしょうか。

少なくとも私にはキャパオーバーの症状ともいえる主人公の倫理観への疑問が序盤から出てしまっているように見えました。

 

 

ビルド第2話の香澄周りで用意されていたシチュエーションを箇条書きにしていくと、

 

・拐われ、怪人にさせられた香澄

・病弱なため、救うことができない香澄

・自我は表出しないはずなのに、抗う香澄

・戦兎の計らいで最期の別れが出来る香澄

・香澄の怪人から取れたエキスが龍我の“龍”にかかったドラゴンボトルを精製する

 

となります。

これらを怒涛の畳み込みで見せるおかげで第2話から攻める作品と評されたわけですが、改めて冷静に見直してみると凄くご都合主義な状況だと思いませんか?

香澄だけが怪人の変身解除を出来ないのに「病弱で体が弱いのに怪人化しても抗える」条件からもうやんわりと矛盾していますよね。

後々に語られることですが、怪人化に置いて重要なハザードレベルは感情に左右されるものでありながら、元々の体質で決まるものでした。

となると、それほどまでに香澄に強い意志が働いていたのかという事になると思うんです。

しかし、香澄だけがスマッシュになった人間の中で誰よりも感情的で強かったと仮定すると、西都で家族を人質に取られていた鍋島や息子のいるジャーナリストの木根は家族愛に関して感情が薄かったのかという話になってきます。

この曖昧な怪人化に抗える似たような展開、ゼロワンにもありました。

第4話に出て来るバスガイドのアンナです。

では何ゆえにアンナはマギア化に耐性があったのか考えてみる時に“仕事に対する熱量”などがそれらしい条件は考えられますが、これもまた、じゃあ他のヒューマギアは熱量が足りなかったのかという話になってしまうんですよ。

それでは個体差によるものなのか、はたまた違う要因なのか…などと考察を巡らすだけ無駄なんです。

だって、深く理詰めする気のない、実際は作り手が早く感動的なシチュエーションとして抗わせてみせただけで、ビルド同様、数ある楽しめそうなシチュエーション乱れ撃ちの駒のたかが1体なんですから。

 

お話の上手い下手は見る角度で変わるものもあるでしょう。

視聴者の心を動かせそうなシチュエーションをこれでもかと見せて、些細な矛盾や違和感には物量とスピード感で目を向けないまま押し切ることが大森Pがビルドの武藤氏から体感し、培った技()。

今回の雑な急展開を導いてしまったのは、ビルドからこれらを評価しすぎてしまった視聴者のせいだと私は思っています。

お話が盛り上がるメソッドといえば聞こえはいいですが、見方を変えれば、それらしいシチュエーションをリスト化して短いスパンで入れ込んでいるだけのゴリ押しと言えるのではないでしょうか。

アンナ回で言えば、抵抗するアンナ、息子に遺言を残す工場長、わずかでも飛電を信じた不破などなど。

15話で言えば、滅の敗北、イズの致命傷、2度の総力戦、新フォームなどなどと言った辺りが馬鹿の一つ覚えである武藤ラッシュの手段だったのでしょう。

 

15話はワズ回に続くイズ存命の危機ですし、不破のバックファイアもここ最近は或人で見飽きてるところなので滅亡迅雷編の終わりにこのネタ切れ感は、少ない引き出しなりに持たせた方なのかもしれません。

さてさて、次回から新章ザイア編の雰囲気ですが、どんなビルド感に勝る展開の早さで我々を作品という名のジェットコースターに乗せてくれるんでしょうか。

見守っていきましょう(鼻ほじ)