鎧武序盤のダンスバトルは正解だった?(仮面ライダーセイバー第4章「本を開いた、それ故に」感想)
メギドを倒したにも関わらず異変が元に戻らない。
息子のそらを心配する尾上に飛羽真が「そら君を必ず助ける」と約束する。
しかし、その言葉が逆に尾上の逆鱗に触れる。
「お前に、俺の!親の気持ちがわかるのか!」 それでも、絶対に約束は守ります、と言い残し出て行く飛羽真。
イライラがおさまらない尾上に賢人があることを告げる。
メギドの謎、そして人々はどこへ消えたのか。必死に考えを巡らせる飛羽真と倫太郎。
一方、責任を感じている芽衣はとんでもない行動に出る。
えー、今年何度目かの子供に大風邪を移されてしまいまして、文章を打つ余力がありませんでした。
元気な時に書いた下書きのような状態で更新させていただきますのでお許しいただければと思います。
不評だったダンスパートとモチーフの親和性
元々はダンスのチームバトルで陣地取りをするものではなく、カラーギャングの抗争の予定でした。
フォーゼでのクレームを踏まえ、子供向けであることを考慮し、粗暴な争い描写は避けられたのです。
しかし、それが結果的に良かったのではないかと今になって思えるんですね。
もし、カラーギャングが街の縄張りを賭けて果物が前面に出た錠前で戦うプロローグは成立させられるのでしょうか?
勿論、フルーツ錠前とダンスバトルによるポップで明るい雰囲気で始まったことでウィザードのシリアスな終わりとのギャップにガッカリして、もしくはフォーゼのようなノリを懸念し、離れて行ってしまった平成ライダーファンはいたと思いますが、仮に裏社会の抗争をシリアスに始めていても変身アイテムがこれでは締まらなかったと思います。
明るいトーンから入っていったからこそ、フルーツ錠前を視聴者に徐々に定着させ、最終的に「フルーツバスケット!」と変身ベルトが発する頃には似つかわしくないシリアス展開まで何とか馴染ませられたのではないでしょうか。
(逆に鎧武をあの辺りから見始めた人には極アームズは相当キツそう)
そして、セイバーの変身アイテムはふざけているのか、第4話で見てみると…
…ふざけていますね(笑)
15年前に大敗を期したソード・オブ・ロゴス自体はシリアスなノリですが、最初しか機能していないように思える絵本専用の本屋、締め切りよりも早く原稿を求める自己中ヒロインなどはコミカルです。
変身アイテムの本の内容は実在しない本ばかりですが、大塚明夫氏の音声も相まって重厚さがあり、ソード・オブ・ロゴスの過去と照らし合わせればバランスが取れてるように思います。
しかし、本屋周りのコミカルなノリとは合っていないように思うのです。
今回、『ビーター・パン』を大人の事情で言い換えた『ピーターファンタジスタ』をかなり特殊な使い方で使用したわけですが、公式も腹筋崩壊太郎の再来と称するように“ふざけ”が先行しています。
『ピーター・パン』自体は少年が体験する夢のようなお話なのでシリアスに寄っているというわけではないのですが、元のパロディみたいなライドブックのタイトルに、原作と関係のない筋肉妖精が来ると、『ゼロワン』のエセサブタイトルや特撮関係ない元ネタを散りばめたように現実味がどんどん薄れ、コントのようにしか見えないのです。
…制作もコントをやってるつもりのように感じますが。
前回の記事で、セイバーの変身アイテムはオーズ的な要素もあるとお話しさせて頂きました。
今回は言わば、初の変身スロットを全て使っい「オーズとはどう戦うのか?」を示したタトバ、また初の強化フォーム的見方であればガタキリバに相当すると思うのです。
ガタキリバは確かに圧倒的な分身数で、分身能力持ちのライダーを悠々越えて私たちに鮮烈な印象を与えてくれましたが、その印象と今回の筋肉妖精を横に並べられるのは確実に違うでしょう。
どちらかといえば、フォーゼやドライブで一通りレギュラー陣の紹介のエピソードを終えた後のネタ回、色物アイテムが繰り出すネタ能力です。
初の三冊挿しがこれでは先が思いやられるのですが、今後のシリアス展開と変身アイテムの趣向がどういう道筋を辿り、混ざり合っていくか注目すると面白いかもしれませんね。
戦う妖精さん
ご指摘も多い、他のスロットに挿さったブレイブドラゴンやヘッジホッグも関連がないどころか、相性に関してはブレイズの方が上だったはずですから、三冊ならなんでもいいという解釈になりかねかい気もします。
恐らく、3つの組み合わせでどうこうというよりは小学生の実験でやった単3電池を直列に並べた際にパワーが倍になってく理屈なのでしょうか。
バスター違いですが、『機動戦士ガンダムSEED』のバスターガンダムは背中のビームライフルとレールガンを縦に連結することで前方の銃にパワーを回すという設定がありましたね(どうでもいい)
実際のピーター・パンに対してセイバーの技はどうとか、そうして筋肉妖精になったのかなんて理屈、生きていく上で全く活きない考察です。
「ピーターパンを知らない そら は可哀想。本も読み聞かせてもらってない。」と指摘する感想も見ましたが、本から離れてしまっている子供たちに向いている作品でもありますし、尾上そらは等身大のモデルとして存在すべきキャラクターだと思います。
逆に「本を読んでもらって当たり前、ピーターパン知らないなんておかしい」というのも偏見な気がしますしね。
今時、ピーターパンを知るのは教育テレビやディズニー映画なんじゃないかと思えますし。
バスター
仮面ライダーバスターこと尾上亮は全く掘り下げられませんでした。
以前のブログで子連れ剣士は『子連れ狼』を彷彿させると申し上げましたが、主人公は一族を殺され復讐の旅をする拝(おがみ)一刀と息子 大五郎の物語であり、名字の読みが共通しているだけあって意識しているのは間違いないようです。
であれば、妻や血族を殺されたと推測できるのですが、そういう話が全くないため、未だに戦場へ子供を連れ回していた意図が分からないんですよね。
しかも、主人公を信用して敵キャラを自分が引き受ける始末。
賢人にお願いされ、飛羽真を信じてみようとする気持ちまでは理解出来なくもないのですが、飛羽真を狙う過去に剣士を血祭りにあげたことのある新敵デザストと そらくんの命に自身の渾身の一撃で倒せなかったハンザキメギドを天秤に賭け、新敵は自分が相手する方がいいと判断する思考が分からないんですよね。
行方不明なのは我が子ですよ?
デザストが他の剣士の遺品であろうライドブックを見せたことで、ソード・オブ・ロゴスは他にもいながらメギドとの戦いで命を落とすものもいたというのが示唆されました。
しかし、その辺の説明は組織内で一切説明がないため、倫太郎の代が末裔で、尾上亮が上の世代、詳細は謎ですが先代のセイバーや裏切りのカリバーがさらに上の代であることを説明不足から理解に至れない視聴者には組織図的な楽しみ方が出来ませんよね。
ましてや、その説明と共に そらくんが倫太郎より若い世代のライダーを担う流れも見せられるため、戦場へ連れていくことを「親の背中を見せることで戦い方を学ばせたい」という理由も付けられると思うのです。
「本の外に出るのは15年ぶりか。
どんな気分だ?」
「こっちは15年も歳取ってんだ!
ちょっとは手加減しやがれ!」
カリバーの言う通りデザストが15年ぶりに解放されたことと、尾上が弱音を吐いたセリフからどうやら面識があるような気もしますが、デザスト側が尾上と顔見知りの素振りを見せないため、よく分からないのです。
仮に、本当に顔見知りでデザストに数々の剣士が倒されたことを認識した上で尾上が飛羽真を送り出したとなると、あの粗暴で力でねじ伏せたがる尾上が殺された剣士たちの復讐心を燃やさずに冷静に戦えるのも解釈違いのような気がしてしまいます。
子供のことでは視野が狭くなり、味方ごと葬るいきおいで技を使うライダーが彼ですから。
というか、これだけ第1話から15年前の事件がチラチラと話に上がってきますが、一向に概要すら見えてきませんよね。
それが平成から脈々と続く大人も楽しめる仮面ライダーの作りといえばそれまでですが、あの『ゼロワン』ですら、デイブレイク事件について第4話で一部虚偽もありましたが、ざっくりと説明してくれたわけです。
今作の特徴として、子供向けであることを打ち出すならもう少し概要だけでも説明してくれていいような気もします。
ハンザキメギド×デザスト×カリバー
前回のブログで紹介した通り、サンショウウオが「沢山の人を食べて王になろうとする」…そんな伝説は存在しません(笑)
人食いオオサンショウウオを討伐した若者が一族全員呪われて死んだ、そういう話です。
再生したハンザキメギドが何故かパワーアップしていたことも説明なかったので、お決まりの再生する度に強くなるパターンなのか、その架空の伝説とやらで自分が王に近づいたからなのかよく分かりませんでした。
三冊挿しセイバーの相手にならなければならないので、敵を強化したい気持ちは分かるんですが、それにしても雑だったように思います。
初の三冊挿しセイバーでふざけてしまったことも問題ですが、相手のメギドの強化も雑で、デザスト分の尺が丸々要らなかったのかなぁと感じました。
土豪剣激土とジャッ君のベストマッチやストームイーグルのゲットが販促的に必要だったのは分かるので、バスターvsハンザキ再戦からの三冊セイバーのアシストでストームイーグルゲットで問題なかったように思います。
何人も剣士を倒した素振りでありながらせっかくの強敵デザストの登場があったわけですが、一刀両断の瞬殺で決着を付けてきたバスターにスピードで攻撃を加えるデザストが単に相性の問題にも見えてどこまで強いが判断が付きにくく、バスターが齢40手前で加齢による手加減を要求したりで強さだけでなく、宿敵という関係性もよく見えてきませんでした。
せっかくの人気声優投入の初陣とセイバー初の三冊挿しが噛み合わない構成も不思議で、デザスト投入はまだ先伸ばしにしてもよかったような気がします。
ただ、デザストの登場がこの回だったのはカリバーの登場がすぐ後に控えていたからであり、ここで一般メギドと一線を画す描写がないとデザストがカリバーの格下からの参戦になってしまうことを恐れての構成なのでしょう。
仮面ライダー3人に対して敵側も強敵3体であれば、面白くならないわけがないはずですが、誰もが誰をも引き立たせる顧とのないまま終わる展開に純粋に詰め込み方が上手くいっていないように感じました。
詰め込み過ぎと言えば、最近では1話完結構成でありながら、テンポの早さで煙に巻いて話の粗さについて考える間を与えなかった『ゼロワン』が記憶に新しいのですが、その煙に巻くことさえもしてくれない印象です。
妥当な対戦カードとしては
●強化ハンザキメギドvsバスター◯
△デザストvsセイバー(三冊)△
◯カリバー×ブレイズ●
ブレイズには申し訳ないですが、カリバーの圧倒的強さは倫太郎半殺しで表現してもらい、2冊で劣勢のデザスト戦は3冊挿しでようやく対等、バスターは超本気でハンザキメギドを倒して汚名返上も出来て良いのかなと思います。
ただ、エピソードとしては
「約束を果たす飛羽真」
「責任を果たす芽衣」
を必ず達成しないとエピソードとして終わりませんから、前回の記事で書いた第4話で描いてもらわないと不親切な「バスターの掘り下げ」と「謎の男(鍛冶屋)の説明」は捨てた感じのように思いますし、約束を果たすためにも本の楽しみは曖昧にしながら ハンザキメギドを倒して そらくんを助けなければならなったのだと思います。
カリバーの武器販促があるので、この回にチラ出ししておかないと間に合わないから詰め込むしかなかったということですかね。
制作が玩具の販売スケジュールに大分振り回されていますが、大丈夫なのでしょうか。
…力尽きました。
大体言いたいことは書いたんですが、まとめきれていないのはお許しいただきたいと思います。
ヒロインについても書きたかったなぁ…。