サブタイトルをパロるのは内容がつまらない証拠(仮面ライダーゼロワン第26話「ワレら炎の消防隊」)
飛電インテリジェンスとZAIAエンタープライズジャパンの“お仕事5番勝負”の第4回戦がやってきた。
今回は消防士対決。
火災を想定した消防訓練の現場において、ザイアスペックを使用した人間とヒューマギア、どちらがより多くの要救助者を助け出せるかという勝負だ。
地下のフロアは瓦礫から、1階は火災から、そして2階が煙からの救出が目的となっている建物が準備され、ついに消防士対決が幕を開けた。
ところが、そんな勝負のさなか、謎のレイダーが出現し本当に爆発事故を起こしてしまい―――。
まず、本編の内容に触れる前にサブタイトルについてお話を。
前回の放送終了後、26話のタイトルが明かされたところで「このサブタイトルって『炎炎ノ消防隊』が元ネタじゃね!?」とSNSで反応している特ヲタを見たのですが、違うと思われます。
おそらく、1996年にテレ朝で放送されたドラマ『炎の消防隊』が元ネタと思うんですよね。
若い特ヲタが当然のように人気少年漫画を元ネタと思い込み、制作はおっさん層に向けた昔のドラマを元ネタにしているのに気付かれないなんて、アンジャッシュの大嶋が出演するだけあって すれ違いコントが秀逸だなぁと感心してしまいます!*1
しかし、この手のタイトルをパロディにしてしまうのは、本家の二番煎じ、もしくは本家の人気にあやかる忌々しい寄生虫のように感じてしまうのは私だけでしょうか。
似たようなパロディタイトルの話で言うと、レンタルビデオ店で新作なのに1本ずつしか入荷されていない作品に目をやると人気作をパロったようなタイトルが並んでたりしますよね。
この手の作品にはタイトルの決められた経緯が2パターン存在すると思います。
まず、「人気作に便乗して作られた作品なのでタイトルも便乗した」というパターン、そして「注目を引けそうにないから話に関係なくても人気タイトルを引用した」というパターンです。
『仮面ライダーゼロワン』はおそらくどちらの要素もあると思います。
…というのも、人気ドラマとして確立しつつある業種のドラマには触れていこうとする狙いが少なからずあると思いますし、サブタイトルに片仮名を入れる以外にこだわりもなく内容で勝負しきれない時にインパクトのために他作品を利用しようとしてるとも感じるからです。
今までゼロワンで扱った業種はたくさんありますが、教師、医師、弁護士辺りはまさに毎クールにねじこまれるような人気ドラマの業種ものですし、特にコービー回ではタイトルこそパロらなかったものの『スクールウォーズ』を彷彿とさせるような“熱血教師”のつくタイトルに対してコービー自身は熱血教師でないどころかバスケ漫画で落ち着いた指導の先生の名言をコピペするだけでした。
オミゴト回こそ目立ったパロはなかったように感じますが、思い返せばエグゼイドの医師たちが他作品のパロであることを公言しているところから、元々、真新しさで真っ向勝負を仕掛けるという志は低いのでしょう。
第4話の『バスガイドは見た!』は例の家政婦パロなど、序盤からサブタイトルの粗めのパロディ要素は見受けられましたが、お仕事勝負以降はパクり方が直接的になり、そんなことに盛り上がる特ヲタに食いつくような分かりやすい餌を与えてバズをはかっているかのようでゲンナリします。
東映自体、便乗気質なところはありますが毎週ともなると制作の品性を疑いますよね。
パロり方こそ直接的になりましたが、内容は関係ないことも多く、前回の「ボクがヒューマギアを救う」の元ネタは
他人の心の声が聞こえる能力を持った小心者のサラリーマンが人々の窮地を救う痛快コメディードラマ。
ウッチャンナンチャンの内村光良が小心者のサラリーマン役を熱演
と言ったようにアップグレードされた迅の要素は今のところ微塵もありません。
『仮面ライダーW』は“ビギンズ”や“フォーエバー”、“リターンズ”など、一貫してバットマンのリスペクトを感じさせてくれましたがライジングなゼロワンにはそのリスペクトがないのです。
サブタイトルはもうただ”直接的にどうパロるか“で考えられるゲスなんでしょう。
AP時代、キバのサブタイトルを一生懸命に考えていた大森プロデューサーはどんな思いで今のAPにこんな汚れ仕事をやらせてるのでしょうか。
それとも、もしかしてAPが良かれと思って勝手にやっています?
753「…ならばその社員証、今すぐ東映テレビ第二部長に返しなさい!」
令和第一弾の作品のくせにガッツリ平成の人気作に乗っかるなんて、近未来設定が聞いて呆れますよ。
本編といえば、マッチョな男の消防士は女の人大好き!女子アナはスイーツ好きで頭弱そう!蘇生概念はない消防士ヒューマギア!…と固定概念がガッチガチで平成初期を今に生きる人間が書いた脚本のようでしたね。
メタルクラスタホッパーでマギア化の解除は出来るようになりましたが、あの状況でゼツメライザーを付けたらどうなるかの実験を甘んじて受け入れてしまえるクソさは相変わらずのようで胸糞さが緩和されないことに笑ってしまいました。
今もなお崩壊が進む建物の中で生き死にがかかっているのであれば、一体で二人運べるヒューマギアが息のある人を救助して、心配停止者は長年の経験と勘で蘇生できるか否かを人間の消防士が留まって処置をするでいいじゃないですか。
後編でマギア化するとこじれるので、マギアとの戦闘シーンを設けるために無理やり怪人に変身させただけ、でしたね。
ピン芸人 飛電或人では無理ですが、『仮面ライダーゼロワン』であればR-1優勝も無理じゃないくだらなさのキラメキを秘めて…いや無いか!!
<捕捉>
『ジェイミー、童貞やめるってよ』は、童貞を食べられない人狼から逃れるために童貞を捨てようとするホラーコメディーで、タイトルのパロ元である青春群像劇と思って見なければそこそこ面白いらしいです。
そして最近、ラジオ番組の特集『こんなタイトルですけど実はちゃんとしてるんですよ“劇場未公開映画特集”』では配給会社に変な邦題を付けられた隠れた名作の存在も紹介されているので、記事タイトルのように、劣悪なゼロワンみたいに他所をパロったからと言って一概に駄作だと決めつけてはイケないんだということだけ弁解させて下さい。(この特集はradikoで3月11日中までなら聴けます)
*1:もう、R-1があるからって朝から張り切りすぎだよ、ゼロワン///