ルナ太郎の腹筋崩壊ブログ

私は…仮面ライダーゼロワンの気になった所を大人げなく殴り書くのが仕事だから!

特ヲタはアークの意志のまま、天津垓を憎むように仕向けられている…(仮面ライダーゼロワン第22話「ソレでもカレはやってない」感想)

ゼロワンプロデューサー

「アークを生み出したのはこの私だ。この数年で培ったやり方を学ばせ、垓に敵意を持たせることでネットで盛り上がるライダー作品を生み出した。それがアークこと、『仮面ライダーゼロワン』だ」

 

 

飛電インテリジェンスの買収を巡って行われている飛電とZAIAの“お仕事5番勝負”。

3回戦『裁判勝負』の判決のときが近づいていた。

にも関わらず、飛電インテリジェンス側の弁護士ヒューマギアは仮面ライダーサウザーによって破壊され、レイダーの正体の手がかりも空振りに終わった。

後がなくなった飛電の前に現れた意外な助っ人、それはヒューマギアが大嫌いなはずの不破諫だった。

ヒューマギアと諫のユニークな共同捜査が始まって―――。

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今回、雑に裁判で窮地に陥り、雑にあのカップルを狙われただけという薄味の真相にはガッカリしましたね。

 

A.I.M.S.は当初、警察の中の人工知能犯罪対策部というようなポジションで設定されており、2話を『警察編』にしようと試みられておりました。

しかし、「人間の犯罪者を追い詰めることが仕事であるAI刑事」と「(当初は)実直真面目キャラ刑事・(として設定されていた)諫」の描写がどうしても両立できませんでした。

こうして、A.I.M.Sを警察から切り離し、不破諫を人工知能ロボに対して憎しみを持っている男という設定に、さらに『警察編』という描き方をやめました。

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この大森プロデューサーのコラムからわかる通り、唐突な不破とビンゴのバディは当初、第2話のために温めていたプロットで、バディの関係が変わり、民間の弁護士ヒューマギアと内閣官房傘下の不破が何故か手を取り合ってしまえる違和感はここから来ています。

逆に、物語で実は憎んでる割に初期プロットの真面目さがちょこちょこ浮き出て、一番ヒューマギアに対して真正面から向き合っていると言っても過言でない不破がビンゴと協力することに意外性はなく、病院回を下回る、取ってつけたような不破のヒューマギア克服エピソードになったように感じます。

ボツ案はボツ案のまま、眠らせておけばよかったですね。

 

前回は有利な状態で裁判初日を迎えたにも関わらず急にピンチに陥り、5番勝負で2連敗してる崖っぷち感も薄いどころか今回まで全く匂わせていないといったように前回からの引きも弱かったので、或人やビンゴだけでなく“不破とともに勝ち取った1勝”のありがたみも感じられませんでした

優秀なはずのビンゴが不破頼りという肩透かしなのは効果的なバディと呼べないと思います。

新フォームお目見えとルパパト監督にやりたかった疑似警察バディものと、大森プロデューサーにとって盛り上がる要素を詰め込んだ勝負回だったと思うのですが、結果は制作がやりたいことの自己主張が強いだけの中身の薄い回になったと思います。

 

サイバー犯罪課のアイツがいたずらに犯人を作り出すサイコパスだったというのは、飛電vsZAIAの詐欺裁判なんてどうでもよくなる大ニュースなので軸がブレますね。

なぜ、被告人が無罪だったことだけがあんなに大きく取り上げられるのでしょう。

今回まで5番勝負においてルールは本編中に明確に説明されなかったものの、先週から公式垢のツイートで“3点先取”で勝敗が決まると提示していましたし、唐突にアバンで後がないことを語られたところで最大5回戦あることを鑑みても飛電のストレート負けというのはお話として考えられず、謎解き回に飛電の勝ちが決まってるというのは意外なオチにも繋げられずメタルクラスタだけが見所の退屈な回でした。

 

あと、真犯人がレイダーになってまでビンゴが襲わなければならなかったのか、本編を見終えてもイマイチ解せません。

マギア化せずともビンゴを破壊したところでバックアップが取れているヒューマギアであれば、裁判に支障がなく、「後がなくなった」なんてないはずなんですよ。

前2戦から考えてもビンゴがマギア化したところでこの裁判は流れることはないでしょうし、破壊されても復元の速さから次の公判まで間に合ってしまうと思うのが今まで見せられてきたゼロワンの流れです。

詐欺についても「誰でも良かった」なんて言うに留まっては裁判を扱った回のくせにもっともらしい動機もあったもんじゃありませんよね。

つまり真犯人の行動である怪人パートはノルマ的に戦闘シーンを消化するのためのものでしかなく、雰囲気でビンゴや或人に襲いかかる要員だったので、物語が面白くなるわけがなくて当然だと思います。

被告人と被害者のドラマも薄いと思いましたが、ゴーバスで引っ張るための温存だったことにもガッカリです。

大和田回といい、ゼロワンはキャスティングでしか大きな引きを作れないのでしょうかね。

 

 

 

さてさて、ここからタイトルの話に戻りたいと思います。

お仕事5番勝負編が回を重ねるごとに「垓は不正をせずに戦え!」という感想が多くなっていることが私は気になりました。

視聴者の中でお仕事5番勝負をゼロワン世界の何か公式めいた仰々しい対決だと誤解されているようですが、この勝負は株を買い占めた垓によって催された飛電にマウントを取って負けを認めさせるための道楽です

未だ語られてはいない、垓の意見に耳を貸さなかった是之介に自分の正しさを立証して見せるため、亡き是之介の代わりに後継ぎの孫をコテンパンに打ちのめし、負けを認めさせ、「ヒューマギアは支配すべき」ということを身を以て分からせた上で会社を乗っ取ろうと考えられたゲームなんですよね。

言ってみれば、漫画『ガラスの仮面』で演劇部部長が北島マヤに嫌がらせをして試すように、『カイジ』の金持ち組織が見下している犯罪者たちに理不尽なゲームをやらせ、自身の無力さに苦しむ様を楽しむような感覚に近いと思います。

そこで或人たちに感情移入し、公平性を求めて「真剣に勝負しろ!」と怒れるのは、ある意味で制作の意のままに感情を支配されている反応なのかなぁと感じました。

 

この見ている側の垓に対するヘイトは、今回のように後で垓をボッコボコにするカタルシスのための貯金であって、垓がもっと或人を窮地に追い詰めるために用意したメタルクラスタホッパーで逆に返り討ちにあってしまうという因果応報は制作からのおもてなしの一環、つまり制作が用意したスカッとJAPAN的展開の序章だったわけです。

問題なのは、その制作のおもてなしが直接的な暴力によるものであるということ。

 

暴力的解決で救うヒーローものと司法は相性が悪いことは前回のブログ記事でお話した通りですが、今回のお仕事5番勝負に対してサウザーがゼロワンを暴走させることや、逆にゼロワンがサウザーを捻りつぶすことは直接的に関係がありませんでした。

 

なぜ法廷の外で争わなければならないのですか!

 

脚本では前回、お仕事勝負とライダーバトルの関係性の薄さに制作サイドが自覚があってなのか、ビンゴにそのことを指摘させてるようにも捉えられるんですよね(笑)

本来、大事なのは裁判対決なので、法廷の外で垓が名誉毀損だとマギア化したビンゴを裁くのは私刑であり、誤った行為という感想はごもっともです。

 

いや、それ以前の問題だよ。人の人生がかかってる裁判を勝負に利用しようなんてどうかしてる

 

こちらも前回、勝負内容を告げられた時に或人が言った台詞でありますが、同じく視聴者に突っ込まれる前に、このあまりにも倫理的ではない破綻した第3戦の構成を前もって皮肉っていたのかもしれません。

とにもかくにも、お仕事5番勝負…今回で言えば裁判の決着と関係ないことで視聴者に暴力的解決を求める展開を期待するように誘導しているのは『仮面ライダーゼロワン』というコンテンツで間違いないようです。

 

先週からSNSで「パラドクスがゲンム ゾンビゲーマーを倒した時のようにボコボコにしてほしい!」と垓を滅多討ちにする描写を希望してる特ヲタをちらほら見かけましたが、酷い仕打ちに対して単に殴り倒す因果応報なんて安易な展開で作品を回そうとする、仮面ライダーがそう回すことを望まれているバトル漫画的コンテンツに成り下がっていいのかな?と思うんですよね。

「戦闘能力で上回っていくの繰り返しで、力でマウントを取り合って行く」なんてまさに少年漫画のバトルものの典型じゃないですか。

演者やスタッフが「実は大人に見て欲しい、大人が楽しめる」と謳っている特撮が、毎週楽しみにテレビの前で待っている側にはストーリーの本質やキャラの狙いを読み解いてもらえず「やっちまえ!」と短絡的に望まれている。

加えて、本編は面白くもないダジャレをとにかく大声で言うだけ、大切にしている自社のヒューマギアたちが怪人化することや壊されることをほとんど阻止できていない主人公が毎週右往左往しているだけで、作品から誠実さが感じられないという現状ではお仕事5番勝負がどうこう以前の問題だと思うのです。

仮面ライダーゼロワン』という“アーク”に垓を叩きのめすことを是と植え付けられた特ヲタたちの盛り上がり方は、本当に“大人も楽しめるコンテンツ”と呼べるものになっているか疑問に感じます。

もっと言えば、実際にゼロワンのつまらなさを「もっとやれるはず、頑張れ」と擁護している良い大人が放送禁止になったエロアニメをパロって「お仕事対決で風俗ヒューマギアでもやってみれば?」と悪ふざけで茶化しているなんてかなりゲスですし、令和に切り替わって『仮面ライダー』という存在が歪んでしまっているのではないでしょうか。

作品内外から誠実さを欠いてしまったらそれは子供に見せるべきではない番組です。

ここ数ヵ月で、見た目が格好良くて、玩具が魅力的なだけの存在になってしまったと感じました。

 

 

そもそも、或人はなぜゼロワンになったんでしょう。

結果論で言えば、人々を笑顔にするため、くすくすドリームランドや園長を守るためでありますが、ドライバーを手に取る最初のキッカケは「夢について馬鹿にしたマギアを壊してやろうと思った」からです。

夢について笑ったことが逆鱗に触れ、社長になることなどはさておいて、ドライバーを「いいからくれ!」と言ったんですよ。

ニュアンスで言えば、目の前の輩が頭に来たから横にいた奴から金属バットを催促するような、衝動的な感覚、「カッとなってやった」です。

つまり、ゼロワンという仮面ライダー「腹が立つこと言われたから暴力振るってやる」から始まったのです。

 

 

前シリーズのジオウでは2クール目で白ウォズを登場させ、その思い通りにできる能力で視聴者のヘイトを溜めていきましたよね。

しかし、白ウォズは後にジオウトリニティの圧倒的力の前に暴力でひれ伏すのではなく、ソウゴの人柄に負け、人間性を認める形で退場していきました。

その後も、ソウゴとゲイツのわだかまりや、ツクヨミの誤解もしっかりと和解する形で鬱屈とした展開を解放していましたよね。

拳こそ交えましたが、手を取る形で解決に導いた2クール目はジオウと暴力を求められるゼロワンは対照的だと思います。

(後に垓に或人が手を差し伸べる展開も考えられなくはないので、ゼロワンの2クール目を総括するには早いですが)

 

俺は、やっぱり…王様になりたい!世界を全部良くしたい。みんな幸せでいてほしい。そう思ったら、王様にでもなるしかないじゃないか!

 

ソウゴが仮面ライダーになると決意した瞬間の台詞です。

私はただ、こんな風に仮面ライダーが暴力で打ち負かすだけのヒーローではないというところに惚れ込んで仮面ライダーを小さい頃から追いかけて見てきたつもりです。

しかし、一連の騒動の黒幕に非道な行いをさせ暴力で解決する、その連続でお話を成立させたがるのは最近だと大森プロデューサーが手掛ける作品ばかり。

一度や二度ならいいのですが、今回も見え透いたこの「垓にヘイトを溜めさせて盛り上げよう」大作戦に全く乗れないので、このプロデューサーの中でマンネリ化したやり口がどうにかならないものかなぁと頭を抱えてしまいます。

 

 

実は今回の記事、本編の感想も含めてほとんどが前日に書き終えていたものでした。

予告や公式の発信したあらすじ、新フォームの開示された説明からおおよその見当がついたので、本編を見て少し手直しする程度に収まったのでこんなにも早く投稿できました。

予想できなかったのは犯人にもっともらしい動機がなかったという、斜め下の展開ですね(笑)

所詮、素人に容易に予想できて、しかもその範疇を上回ることができない、その程度の回でした。

 

ではでは。