垓が腹パンして傷害罪だと言うならヒューマギア一切回収しない飛電社は営業停止の行政処分ものやん(仮面ライダーゼロワン第21話「異議あり!ソノ裁判」感想)
真剣に法と絡めて横やり入れるならば、そもそもね。
飛電インテリジェンスの買収を巡って行われている飛電とZAIAの“お仕事5番勝負”は、ZAIAが早くも2勝をあげた。
後がなくなった飛電インテリジェンスに対して次に持ち掛けられた対決は、ズバリ裁判対決。
いわゆる結婚詐欺の事件に対し、ザイアスペックを使用して起訴に持ち込んだ検事と、弁護士ヒューマギアで裁判を争おうというのだ。
有罪となればZAIAの勝ち、無罪になれば飛電の勝ち。
しかし、検察は決定的な証拠を押さえているらしく―――。
さて、AIの監修が入り、メインであるはずのルパパト監督が戻ってきた回、いかがだったでしょうか。
個人的に気になったのは裁判ドラマのパートですかね。
本来の裁判関係のドラマであれば、弁護側は被告人の思いを聞き、いかに犯罪をするような人間でないか、いかに被害者を愛していたかを聞き出すものです。
逆に被害者は何らかの形でいかに被害者を愛していたか、信じていたかの話を見せます。
そうしないと視聴者はこの裁判に全く感情移入出来ないのです。
それを抽象的なシーンでしか描写せず、基本メインキャラたちのやり取りで回し、被告人と被害者は蚊帳の外でライダーが怪人と戦っている、「そこが良かった」と評価している特ヲタもいるようですが、むしろ、私から言わせると、東映のくせにそういう本来の裁判ドラマでやるべきことを描けないで何が撮れるんですか?という感じでした。
事件の真犯人についてもそうです。
ドラマ中に調べている中からその真犯人の影である証拠を掴む流れが必要ですが、弁護士事務所の駐車場へビンゴを消しに攻撃を仕掛けてきたレイダーがザイアスペックを落とし、それにより物語的な真犯人の影を見せるというのはドラマとして都合良すぎて面白いわけがありません。
レイダーが起こした傷害事件でなら多少納得できますが、これって極端に言えば、推理せず部屋で昼寝していたら何者かに重大なヒントを窓から投げ込まれるようなもんなので、捜査パートとしては簡略化され過ぎてかえってお粗末ですよね。
同じく子供向けの『おしり探偵』辺りでもやらない展開でしょう。
そして回の最後、垓がビンゴを煽り、マギア化したビンゴは破壊され、怒りに任せてサウザーに攻撃を仕掛けたゼロワンが返り討ちに合う。
…これ、次週への引きって何なんでしょうか?
次週へ視聴者を引っ張る推進力は次回予告の新フォーム以外に何かありましたか?
後半で被害者や弁護人のドラマに触れるかもしれませんが、それでは引きにならないので裁判ドラマで盛り上げきれないのはペース配分としても下手ですね。
商品化もして話題になった腹筋崩壊太郎を介したアリバイを証明するくだりですが、法廷の醍醐味である弁護シーンはユーモアで逃げてしまった印象です。
ビンゴの決め台詞に、検事もいかにも言いそうなテンプレ台詞を言ってるだけで総体的に一回だけならビンゴが勝てたと評される法廷のシーンはただの茶番でした。
…ま、まあ、AIに関しては世界で見せられるとAIの専門家には評判ですからね、ゼロワンはっ!
ここからはタイトルや冒頭で少し触れた本題に移りたいと思います。
そもそも暴力描写のある特撮作品に司法を混ぜるのは非常に相性が悪いのはご存じでしょうか。
ライダーは殴って蹴って建造物を少なからず壊しつつ怪人を倒して事件を解決します。
PTAの方々がよくクレームを入れる定型文のような文言で「暴力性は子供に悪影響じゃないのか!」というのありますよね。
「アンパンマンは最後、暴力で解決するから野蛮だ!」というお母様の声が上がったりしたのが記憶に新しいと思います。
(…とりあえず、道徳的にアンパンチやライダーキックが子供に悪影響かなんて不毛な議論は置いといておきます)
クレーマーの親御さんだけでなく、法も暴力的解決に寛容ではありません。
社会秩序を守ることが法律の役割であるならば、何らかの武力行使を特定機関に認められずに自己判断で殴って蹴って解決する行為は本来、無法者になってしまうのです。
公務員ライダーや職業ライダーは過去に存在しますが、自警団的に非公認で街を守っているライダーはならず者扱い。
そうやって「法律であの行為は~」と横やりを子供向け番組に入れてしまえば、ヒーローを現実に引きずり下ろして卑下することになる非常に大人げない主張になるんですよね。
勿論、こうして大人げないブログを書いている私の行いもそれらに当てはまると自覚した上で書いていますよ(笑)
飛電はマギア化するヒューマギアを頑なにセキュリティがどうの原因は解明中だとしていますが、原因が不明でも暴走する恐れがあるヒューマギアは言うなれば、「爆発するバッテリーの入ったスマホ」、「金属片が混入した食品」と同じことなんですよね。
それらをどういう原因が分からないから回収しないなんて、現実に許されると思います?
発覚した段階で回収しないとさらなる犠牲者が出てしまう、怠れば企業は法的処置を受けなければならない、だから世の中の企業は問題発覚後にすぐに自主回収するんです。
それよりムカつく垓の或人への腹パンの罪状が気になりますか?
マギア化されて危害を加えられるかもしれない一般市民よりマギア化したビンゴを壊した罪状が重要でしょうか?
兎にもかく角にも、法による観点で突き詰めるとそういう話になってくるんです、残念ながら。
私たちはもう、垓の手の中で不条理な5番勝負を強いられる或人のようなもので、作品に対して細かいところで法律がどうのと反論する選択肢なんてないのです。
ウルトラマンに出てくる武力を持つ組織は国に認められていますし、あのアベンジャーズだって国連に認められて行動しています。
(それを巡って内部分裂したりするエピソードもあったり)
内閣府直属のAIMSもそれに当たると思いますが、リアルな法的手順を追求するなら強力な武器による発砲や変身に担当している官僚や総理大臣の許可が逐一必要なはずですし、万が一、或人のゼロワンによる自警行為が国に認められワンマンアーミーになれたとしても個人の判断で衛生からバイクやメカをバンバン落とすなんて航空管制的にアウト、宇宙飛行士ヒューマギア兄弟だけでなく法律がそれを許さないはずです。
…と挙げればキリがないくらいに、近未来と謳いながら異世界ファンタジーの化したゼロワンはまともに法と絡めて語るような作品じゃありません。
そんなゼロワンにまともな司法ドラマなんて扱いきれるわけないでしょう。
…ビンゴ!
法を扱う三番目の勝負も滞りなく つまらないはずです。*1
ネットで「今のところ、垓がめちゃくちゃ気に入らなくてつまらない」という意見も散見しましたが、垓は気に入らないように作られたキャラクターなので、それで今がつまらないと思うのはある意味で制作の術中なのではないでしょうか。
洋画ですが、ラストが胸糞で有名な『セブン』や『ミスト』のような作品をちゃんとラストまで見て「酷い映画だ、なんて気持ちにさせるんだ」と最低な評価を下することは裏を返せば賛辞になる、誰よりも作品を楽しんでることになると思うんですよね。
今、垓の行いに苛立ちを覚え、そこを切り口に強く批判している方もいらっしゃると思うのですが、「果たしてそれは批判になっているのかな?」と感じました。
そして来週は制作の狙い通り、手のひら返す形になってしまうのでは?…と。
ビンゴの、未来の弁護士型アンドロイドとして説得力があるのか等々は来週の最後見て難癖つけたいと思います。
そういえば、5番勝負の決着の付け方って、どうなってるんでしょうかね?
フツーなら3勝した方の勝ちなんですが、ネット上では「1勝でもしたら飛電の勝ち」な風潮なんですよね。
本編で垓は第17話で
「万が一ヒューマギアが勝ったなら、飛電に対するTOBの取り下げ、我々が所有している飛電の株式をすべてあなたに譲りましょう」
と言っていて、
最近の公式アカウントは
https://twitter.com/toei_zero_one/status/1223531470687334400?s=20
【明日9時から21話放送!】
— 仮面ライダーゼロワン (@toei_zero_one) 2020年2月1日
お仕事5番勝負は3回戦。
なんてこった! 後がない飛電が挑むのは疑惑渦巻く《法廷》の場。
真実を見抜く弁護士ヒューマギアは、被告の無罪を勝ち取れるのか…伝説的な勝負の幕開けを刮目せよ!https://t.co/W0kIbnASOo#仮面ライダーゼロワン #ゼロワン pic.twitter.com/RAA8I2GchR
【次回ゼロワン】
— 仮面ライダーゼロワン (@toei_zero_one) 2020年2月2日
第21話いかがでしたでしょうか。
次回、裁判対決 決着!
ゼロワンが新たにまとう力は、崖っぷちの飛電にとって究極の救世主となりうるのか…おったまげなそのパワーに次回も刮目ready go!https://t.co/o6SjtD9arA#仮面ライダーゼロワン #ゼロワン #メタルクラスタホッパー
https://twitter.om/toei_zero_one/status/1223764819313954817?
https://twitter.com/toei_zero_one/status/1223764819313954817?「後がない」や「崖っぷち」と言ってるということはやっぱり3勝先取なのでしょうか?
負ければ1000%にこだわる垓の勝率が66.6%以下になる可能性がありますけど?(笑)
前回はアバンで「どれだけ売るか」とあやふやに説明したみたいに、大事な新章の軸なのに明確に説明する気がないのでしょうかねぇ。
今回を見ても或人に切羽詰まった感も出てませんし???
うーん、作りがとにかく不親切。
子供に「5番勝負」で3勝先取のルールまで暗黙の了解で伝わる気なら大したものですよ。
まさか、敢えてあやふやにして5番勝負で勝った負けたの接戦という創作事の予定調和にモヤをかけるなんて姑息な真似を?
…それもこれも来週になれば分かりますね!
それではまた来週。
最後は皆さんでご一緒に、
いつものあの挨拶で!
せーの、
腹 筋 パ ワ ー!
P.S.
議員たちが会議をしていようが内閣府にいちいち変身の許可を仰ぐ不破や、イズに対して航空管制にバイクを落としていいかの確認を取らせるゼロワンなんて描写あったらクウガとは違う側面のリアルに対するアプローチで面白い世界観になったろうに…ガンアクションとAI監修に気を取られて惜しいことしましたね~。
*1:ね?茶番でしょ