ルナ太郎の腹筋崩壊ブログ

私は…仮面ライダーゼロワンの気になった所を大人げなく殴り書くのが仕事だから!

ちょっと 暗殺ちゃん考えた奴 そこに座りなさい(仮面ライダーゼロワン第13話「ワタシの仕事は社長秘書」)

第7話から時間をかけて暗殺ちゃんを描いた割に散り様はイズとワズの兄妹愛に薄められるわ、ワズより祭田Zにスポット当てた方が面白そうだわな第13話。

殺ちゃんにとっての残基1に繋がる祭田Zの5号の救出するものの、ゼツメライズキーの確保ならずとシャイニングホッパーの相手役、そして仮面ライダーの新キャラへのお膳立てにしては胸に残るキャラになりきれなかったと感じましたがいかがでしょう。

 

 


シャイニングホッパーという光輝く姿に変化したゼロワンは、滅や迅をも凌ぐほどに成長したドードーマギアを迎え撃つ。

シャイニングホッパーのプログライズキーを使えば必ず勝てると確信していたイズだったが、ゼロワンの様子に変化が訪れる。

その姿に「私は社長秘書失格です」と自信をなくし始めて―――。

 

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殺ちゃんは令和初の再生怪人だったわけですが、個人的には暗殺ちゃんに平成一期の再生怪人の意匠を強く感じました。

具体的には

 

・倒される度に強くなる

(クロコダイルオルフェノク)

・受けた攻撃をラーニングし、見切る

(カッシスワームグラディウス)

・覚醒するまでは無垢であどけない

(ライオンファンガイア“大ちゃん”)

 

この辺りの要素が“らしい”な、と。

企業や国直属の対怪人組織が存在するファイズやカブト、大森PがAPを務めたキバから集めたハイブリッドな新しい再生怪人像である…と言えば聞こえが良さそうですが、この三点において着目しても活かしきれることなく全て半端に終わってしまったように感じます。

最後のパワーアップ(ドクロ顔)は、11話で不破に撃破されることなく今までの法則性から外れて自然にヌルッと進化を遂げたという点でクロコダイルオルフェノクの危うさを伴うしぶとさが表現されていません。

戦いながらラーニングする極めて厄介な相手であるというカッシスワームっぷりもカブトの3人同時ライダーキックで倒すような工夫もないままシャイニングホッパーの性能の見誤りに油断し沈むという、7話分も時間を割いた割には呆気ないやられ方でした。

大ちゃん(ライオンオルフェノク)のあどけなさという点においても、おとぼけ描写が祭田Z5号にスライドしたため、暗殺ちゃん単体の残虐性の落差にメリハリを感じにくく、食堂の全員皆殺しという虐殺をした大ちゃんに比べると誰も殺さずに「暗殺を極めた」とイキったところで井上脚本からこの変化の高低差を抜いたようなデッドコピーにしか感じられません。

結果、暗殺ちゃんと同じ容姿の祭田Z5号が無事だったため、長らく或人たちの前に立ちふさがった暗殺ちゃん自体の死に悲しみにくく、暗殺ちゃんの無類の強さにチラつかされる新フォームで敗北の危機感も感じず、5号を保護したため4体で再生は打ち止めとなれば5体目で手に負えなくなるほど強くなる恐怖もなくなります。

ワズの死を引き立てるためにも、なんなら暗殺ちゃんの登場を遅らせてでももっと前からワズを登場させ、視聴者にワズへの思い入れを強く持たせた方が良かったと言わざるをえませんよね。

 

説明台詞でその都度パワーアップは匂わせたものの、暗殺ちゃんの初戦はエイムズチーム2人にボコられ、次は滅と迅の3対1で刃をボコり返し、数話後に至っては不破との対決で雑魚マギアで囲いながらも新プログライズキーの前に簡単に沈むという逆算的に弱くなったとも取れる描写にしてしまったように思います。

タチの悪い再生怪人として軌道に乗れたのは第11話で不破を倒したところからという体たらくっぷり。

ビジュアルや喋り方を変える以外にも、暗殺ちゃんの戦闘力や暗殺者としての資質も徐々に変化していく演出なんて他にやりようがいくらでもあったのではないでしょうか。

 

例えば、

 

初戦は1対1のタイマン、2段階目では不破も交じり2対1、3段階目になれば刃も加わって3対1とそれでも苦戦を強いられていき、4段階目でシャイニングホッパー相手で勝てるようにしていくといった、どんどん強くなる様を説明台詞ではなく状況で表現する

 

とか。

例えば、

 

4段階目で不完全シャイニングホッパーで辛勝するも、結局、残った黒ドードーマギアに祭田Z5号は連れ去られてしまい、第5形態への進化でいよいよ強さにおいて絶対絶命感を出す

 

とか。

例えば、

 

大和田氏に懐くものの、ヒューマギア撤廃を訴える政治家の暗殺に成功。

その後、ドードーマギアによる二刀流の斬撃は大和田氏が時代劇映画で見せた剣さばきと重なり、その剣技を持って人類滅亡の職務を果たすべく、道行く人を殺めていってしまう

 

とか。

クロコダイルオルフェノクのジェイはワニモチーフをアフリカ系の幹部に担わせることで今までのオルフェノクと一味違うことを見た目で分かりやすくこちらに植え付けつつ、流星塾サイドのドラマをそこまで邪魔しない程度に“小型犬を飼っている”というギャップ萌え(?)の事実だけで印象深いキャラに仕立て上げていました*1

 

カッシスワームはハイパークロックアップに勝る“フリーズ”という能力のみならず、人間態でキャストオフ前のガタックを圧倒する様を見せ、そこからさらに再生してラーニング能力まで身に付けさせるという絶望感をこちらに与えてくれました。

険悪になった刃との共闘戦線も何のカタルシスも生まないままで連携したところで、「それでも倒せない暗殺ちゃん」を上手く描けるわけもありませんし、7話かけて積み上げた暗殺ちゃんで効果的に作用させることなく刃の件はなあなあで済ませてしまいましたよね。

13話の共闘展開も強化フォームもシュチュエーションで見れば、カッシスワームでのトリプルライダーキックを思い返すとあの時の昂揚感に到達できていなかったように思います。

 

大ちゃんは言わずもがな、ご褒美はパフェという同じくギャップ萌えに、自然を生きる小さな命も慈しめるところからの食堂の大虐殺へと繋がるエグさ、そしてキバとイクサの共闘を以てしても跳ね除ける強さも見せ、蘇生回数は少ないものの今までのファンガイアとの強さの差を強調してくれたりと、平成1期の再生怪人の中でしっかりエッジを効かさせてくれていたのです。

麻生家の親子愛も感じさせながらの散り様はメインキャラの引き立て役としても味わい深い再生怪人になっていったと思いますし。

 

それを踏まえて。

殺ちゃん…圧倒的に強かったですか?

 

ただ、ゼロワンやバルカンが滅や迅相手同様にいつも通り地面をコロコロ転がっていただけではありませんか?

 

殺ちゃん、可愛げのある初動から残忍なヒットマンへと変貌し、唯一無二の再生怪人としての印象を我々に残してくれましたか?

 

なんか長い前振りの割に最後の最後で尻切れトンボ感ありませんでしたか?

 

殺ちゃんにおける長いスパンでの掘り下げで、たった1体の謀反に追われる身になった滅亡迅雷のカリスマ性は失われ、テクニカルな強さを持っていたはずの刃はただただ弱い扱いになっていき、最終的な対決数で見ると因縁の薄い或人がトドメを刺すなんて構成、プロの作り手が考える代物なのかと疑いたくなるんですよね。

筧>高橋>筧>三条と、暗殺ちゃんを描く上での変わりゆく脚本家の舵取りはどうなっていたんでしょうか。

 

 

…と、こんな平成シリーズの良さを分かってるんだか分かってないんだかな構成に、いつも通り「下手くそ!」と言ってやりたくなる怒り以外にも、別の違和感も抱きました。

というのも大森Pの掲げるゼロワンのコンセプトは、平成シリーズを意識しない自由さだったはずなんです。

東映公式にあるゼロワンのページにてプロデューサーはこう語っています。

 

恐らく新時代になったことによって「平成や前作とのカウンターを意識しなくてよくなった」からだと思います。

なんせ時代そのものが変わっているので。 

 

「ゼロワン」は“過去”を意識する作り方ではなく、かなり“未来”とか“これからの子供たちが生きる世界”を意識して作っているということです。

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「過去作をあっちこっちからオマージュする」こともゼロワンのテーマである“自由”だと言ってしまえばそれまでですが、上記のようなことを高らかに宣言したのであれば、こんなにも意識してると取れる、かつ中途半端な再生怪人を7話もかけて描かないと思うんですよね。

何かを狙ったからこそ、こんなにも時間をかけて描いていったのは間違いないはずです。

大森Pは別のインタビューでこうも言っています。

 

平成仮面ライダーシリーズにおける主役ライダーのモチーフを一度ぜんぶ洗ってもらったら、バッタがいなかったんです。

そのとき、「ああ、いないんだ……」なんて改めて思ったんです。

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そして、

誰かがふと「令和、れいわ、レイ(0)ワン(1)……」と、口走ったんです。

その言葉を聞いて、なぜか僕だけ「それだーーッ!」と興奮気味に叫んだのが「ゼロワン」誕生のきっかけです。

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とも。

カウンターを意識しないまでも、平成シリーズをビンビンに意識してるのはインタビューに限らずゼロワンから随所で伝わってきますが、バッタモチーフの主人公ライダーが存在するか裏設定などを細かく洗う際に誰かに頼まないと気付けないほどの知識量の人が狙ってファイズやカブト、キバの再生怪人のディティールに寄せるなんてあるのでしょうか。

お世辞にも暗殺ちゃんから新元号に相応しい再生怪人の新しい形は見えませんでしたし、むしろ、狙いがあるとすれば平成シリーズの再生怪人の複合型だったように取れました。(上手く化学変化が起きず、縮小生産になってしまっていますが)

“ゼロワン”というシリーズ名も会議で誰かが言ったことから始まったと言えるプロデューサー*2であれば、ハナっから「全平成シリーズのオマージュが散りばめられています」と正直に言うと思うんです。

つまり何が言いたいかというと、大森Pの把握し得ない知識下で暗殺ちゃんの密な構成が立てられており、それらを考えた人物なりに暗殺ちゃんに平成シリーズへのオマージュを散りばめた結果でこうなってしまったのではないかということです。

過去作の再生怪人と被る余地があるように感じているのは、頭のおかしい盲目な特ヲタの誇大妄想の言いがかりで全然構わないのですが、もし邪推通りこれらがプロデューサーの下にいる人間の仕業で、過去作のバッタモチーフライダーを洗う傍ら、他では『パフューマン剣』などのディティールに並々ならぬ力を注ぎ、大和田氏の大物の出演交渉に尽力していたんだとするならば、面白さを探求する上で狙うところの見当違いも良い所だなと。

令和ライダーも当分 安泰とはいかないのかなぁと新星のプロデューサーが活躍する遠い未来に思いを馳せたくなりました。

 

 

…本当にゼロワンチームに優秀なブレーンって、一人もいないんですかね?

邪推は無しにしても誰の発案であろうが、イケメン役者の萌え動作頼りのお粗末な再生怪人だったことに変わりませんしね。

むしろ、暗殺ちゃん周りなどAPに任せたが故のこのザマであって、大森Pは小説ビルドの執筆に冬映画と、ゼロワンという作品全体を見据えた大采配に徹しているんだと思いたい!

 

そうであってくれよ、敏腕()大森P!!!!

 

*1:しかも灰化した後の小型犬の飼い主を描写するアフターフォロー付き

*2:即座に拾ったのは俺だ感あるし、お前が食い付かなくても呟いた張本人がすぐ気付けたのでは?と言いたい気持ちをグッと抑えて